『時をかけるな、恋人たち』を何度だって見返したい
現代人の廻(吉岡里帆)と未来人の翔(永山瑛太)。時を越えた恋は果たして成就することができるのか。12月19日(火)に最終回を迎えた『時をかけるな、恋人たち』(フジテレビ系火曜よる11時~ )を、ドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。
1話から全てがつながる 怒涛の「つじつま合わせ」
毎週火曜夜に私たちをご機嫌にさせてくれたドラマ『時をかけるな、恋人たち』が最終回を迎えた。 現代に生きる常盤廻(ときわ・めぐ/吉岡里帆)が未来人でかつて恋人だったという井浦翔(いうら・かける/永山瑛太)に誘われ、ともにタイムパトロールを行うという物語。 全11話のうち、前半は廻と翔がさまざまなカップルの時空を超えた恋に出合う。取り締まらなければいけないカップルでも、「つじつま合わせ」を得意とする廻はなんとか彼らの恋がうまくいくよう尽力してきた。 後半では、タイムパトロールの任期終了が迫り、記憶を消されそうになった廻自身が翔とともに恋の逃避行へ。父と母の結婚のきっかけとなった1日に遭遇した廻は、自分のタイムトラベルが必然ではないかと気づく。そこからはタイムトラベルを繰り返して自分の人生のつじつまを合わせていく。廻の初恋。大学時代の翔との出会い。後輩・広瀬(西垣匠)との「ゆずこしょうキャラメル」プレゼンのための残業……。前半で小出しにされていたさまざまなできごとの裏に、タイムトラベルをしてきた2023年の廻の存在があったことが明らかになっていく。 極めつきは10話。未来から監査員がやってきて、これ以上の違法タイムトラベルは危険な状況に。それでも廻は仕事のために過去へ。さらに「私たちだけが幸せになっても意味ないから」と、廻は1~5話で出会ったカップルたちのつじつま合わせもしていく。過去に私たちが見てきた回の、言われてみれば都合のよかった展開。1話の路上シンガー、ジュン(吉澤嘉代子)のCDができていたり、2話のカップルがうまくいく方法を、なぜかあった柚子を見て廻が思いついたり。そんなことはすべて、「2回目」の廻が手を添えていたのだ。 「すべてのつじつまを合わせる。その果てに、私たちの恋がある」 時を超えた恋を成就させるため、廻は時をかける。この10話を見たら、思わず全話を見返したくなる。そして私たち視聴者も、過去(の回)へと何度でも遡る。