福井県内の新型コロナ感染者数の推移

　福井県は8月7日、県内39の定点医療機関から7月29日～8月4日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は1医療機関当たり11.72人だったと発表した。7月中旬以降、インフルエンザで流行の注意報を出す基準の1医療機関当たり10人を超える状況が続いている。例年、お盆明けが感染拡大のピークになる傾向があり、県内保健所の担当者や医療従事者らは「昨年以上の流行となる恐れもある」と懸念し対策を促している。 　県内の1医療機関当たりの感染者数は、5月27日～6月2日の1週間は1.38人だったが、その後増加傾向が続き、およそ2カ月で約8.5倍に。8月4日までの1週間は前週比0.98倍だったが、高止まりしている。新型コロナの5類移行後の昨夏も同様の感染状況で、9月上旬にピークの16.23人となった。県内高校で夏休み明けの学校祭期間中に、インフルエンザを含めて感染が一気に広がるケースも相次いだ。 　現在主流となっているのは感染力が強いとされる変異株「KP.3」。福井市医師会副会長で三崎医院の三崎裕史院長によると、症状はのどの痛み、せき、鼻水、発熱が中心で全体的には軽症という。一方で、特に高齢者で重症化し入院が必要となるケースや後遺症もみられるとし、「社会全体がコロナ慣れしてしまっているが、普通の風邪とは違うことを再認識するべきだ」と訴える。 　同医院では、受診者に風邪症状がある場合は別室で検査しているが、今後さらに感染者数が増えれば、発熱患者と一般の患者で診療時間を区切るなど5類移行前の態勢に戻すことも検討している。「慢性疾患の患者を診療する時間が少なくなり、スタッフの負担も増える」と危惧する。 　福井市保健所は、お盆を控え、市内商業施設の電子看板や市役所庁舎内にポスターを掲示し、市の公式SNSなどで感染対策を訴えるなど注意喚起を強化している。担当者は「感染対策が緩んできている。猛暑の影響もあり換気がおろそかになりがちで、基本的な対策を再度引き締めてほしい」と呼びかけた。