昌平高校を率いる新人監督・玉田圭司に贈られた選手たちからの“誕生日プレゼント” 『高円宮杯プレミアリーグEAST昌平高校×前橋育英高校マッチレビュー』
「楽しいですよね。こういう刺激を求めていましたし、毎日サッカーに関われるので、やっぱり『いいな』って。自分が言ったことに対して選手がやってくれて、うまく行った時の快感みたいなものは、たまらないですね」
新人監督はこう言って、サッカー少年のような笑顔を浮かべる。その立つ場所がピッチの上からテクニカルエリアに変わっても、この人の本質はおそらく何も変わらない。サッカーは楽しいもの。サッカーは楽しむもの。昌平高校を今シーズンから率いることになった、元日本代表のストライカー。玉田圭司は改めて今、サッカーとともに生きる日常の意味を噛み締めている。
監督として初めて挑んだ公式戦は、悔しい敗戦を味わった。プレミアリーグEAST開幕戦。横浜FCユースと対峙した昌平高校は、終始押し気味にゲームを進めながら、試合終盤にセットプレーから先制を許すと、そのまま0-1でタイムアップ。玉田監督は90分間を見ていて、気になったことがあったという。
「横浜FCさんは守りに長けているチームだったんですよ。それに対して真っ向から仕掛けながら、相手の前でプレーしていることに関して、『それはリスクではなくて、相手は危険だと思っていないよ』と。『相手の背後を狙って、相手をひっくり返すことによって、何かが生まれるんだよ』ということは言いました」
ボールは動いても、シビアなゾーンには侵入しきれていない。指揮官がより求めたのは『追い越す動き』。ただ、必要以上に強調することはしない。なぜなら選手がプレーを獲得する瞬間がいつなのかは、自身の経験からよくわかっているからだ。
「言葉で伝えるよりも、自分たちで良い体験をして、『ああ、こういうことか』と感じるのが多分一番なんです。言われたことに関しては、2,3日で忘れちゃうヤツらばっかりだと思うから(笑)、それを体現できた時に継続できるのかなって」。習うより、慣れよ。その積み重ねで41歳までJリーグの第一線でプレーしてきた。