世界は脱ガソリン車へシフト 都が率先して推進“水素社会”どうなった?
イギリスとフランスが2040年までにガソリン車の発売を禁止すると発表し、中国なども追随する動きを見せています。今のところ日本でガソリン車を規制する動きは見られませんが、メーカーは時代の潮流に合わせて電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)を続々と発表しています。 EVの普及は一般にも認知されるようになってきていますが、それに比べるとFCVの認知度は決して高いとは言えません。FCVは水素を燃料にしている燃料電池を搭載した自動車ですが、水素は再生可能かつクリーンなエネルギーとして注目が集まり、政府も水素社会を推進することを決めています。 政府よりも先んじて、水素社会実現に取り組んでいるのが東京都です。2014(平成26)年、舛添要一都知事(当時)の指示で都は推進会議を発足させました。ところが、そんな水素社会という言葉を耳にしたことがない人も多いでしょう。一体、水素社会とはどんな取り組みなのでしょうか?
水素社会推進することのメリットは?
9月17日、東京・中央区の晴海埠頭客船ターミナルで「バスまつり2017 in 晴海」が開催されました。会場には関東圏のバス事業者が揃い、親子連れやバスファンでにぎわいました。 同イベントで目玉と話題になっていたのが、今年3月から都交通局が運行を開始した燃料電池バスです。現在、都交通局では2台の燃料電池バスが活躍しています。 FCVに代表される水素エネルギーですが、普段の生活で私たちが水素社会を実感することはほとんどありません。水素社会を推進することで、どんなメリットがあるのでしょうか? 「水素社会が推進されることで、4つのメリットがあると考えています。第1に、CO2を排出しないなど環境負荷の軽減。第2に、水素関連の技術は日本企業が特許を持っている数が多く、そのために産業の裾野が広く経済効果が期待できます。第3に、エネルギー供給源の多様化。第4は、燃料電池はバックアップ電源として利用することができるので災害時に役立てることができるという点です」 教えてくれたのは、都環境局地球環境エネルギー部の担当者です。 化石資源の乏しい日本では石油や天然ガスなどを海外からの輸入に頼っているのが現状です。3番目の利点である“エネルギー源の多様化”を進むことで、政情不安や価格変動により供給が不安定になるリスクを避けることができます。 また、FCVは動く電源車とも形容されるだけあり、水素を充填しておけば4番目の利点である災害時にFCVから電気を受け取ることができます。つまり、FCVが増えることは同時に小型発電所が増えるということにもなるのです。これは、災害時の備えになります。