関東大震災100年、教訓生かすことが後の世代への責任だ 耐震化に代替拠点配置…「普段からの備えも大切」と谷防災相
谷公一防災担当相が、関東大震災発生から100年となる9月1日を前に共同通信のインタビューに応じた。首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大災害に向けた備えはどうなっているのか。耐震化率などのデータも交えながら、政府や行政の取り組みの現状と課題を語った。(共同通信=筋野茜) ―関東大震災から100年の教訓は何でしょう。 「関東大震災は明治以降、近代日本の災害史で特筆すべき大災害で、大変大きな衝撃を当時の政府と人々に与えました。犠牲者10万5千人の9割が焼死ということから、火災に強いまちを作るために道路を拡幅。橋梁の強化や公園整備、学校の耐震化なども進めてきました。大震災後の取り組みは、その後の国や地方の対策に生かされています。 特に後世に影響を与えた施策は、世界で初めて耐震規定を定めたことです。その後も1995年の阪神大震災を踏まえて基準を強化しています。2018年のデータでは耐震化率は87%まで上昇しています。苦い教訓を生かした成果ではないでしょうか」
―30年以内の発生確率が70%とされる首都直下地震に、国はどのように備えていますか。 「最悪の場合の被害を減らすべく、基本計画を作り、さまざまな対策をしています。建物の耐震化や木造住宅密集地域の解消、感震ブレーカーの普及などを進めているほか、地震発生時に警察、消防、自衛隊の救助部隊がしっかり動けるように、あらかじめ活動拠点や進出ルートを明確にした応急対策活動計画を策定しています。政府も中枢機能がまひしないように、東京都立川市の立川広域防災基地など代替拠点を置いています」 ―首都直下地震や南海トラフ巨大地震は被害が広域に及びます。都道府県境を超えた広域避難が必要になるかもしれません。 「首都圏で9都県市が応援協定を結ぶなど、広域的な大災害に備える体制がある程度はあります。しかし、2011年の東日本大震災では、被災者はもっと広域に避難しました。首都圏の人が必ずしも首都圏にとどまるわけではありません。できるなら、より大きな相互協力の動きを加速してほしい。国としても全国知事会とも調整しながら、より実効性がある取り組みにしていきます」