在住者レポート「アルゼンチンは今」 オベリスコ前に集まり天に両手上げ〝GENKI〟送る=鳥山明追悼で熱狂的元気玉集会
結婚式の入場曲はドラコンボール主題歌
マルタ・スサナさんは2023年2月25日に結婚式を挙げたが、そのときのテーマをドラゴンボールで式場の入場テーマ曲はドラゴンボールのオープニング曲(スペイン語Mi corazon encantado、日本語ではDAN DAN 心魅かれてく)でした。もちろん招待状などのデザインも全部ドラゴンボールでした。 ドラゴンボールの特徴的な大きなギザギザのヘアスタイルを地毛で固めたククさん(29)は、今月誕生日で30歳を迎えます。そのため「生まれた時からドラゴンボールで育ったので、世界にドラゴンボールのない人生なんて考えられない」と言います。母親は暴力的な点に難色を示してしていたそうですが、番組を教えてくれた兄と一緒に、親の機嫌を損なわないようにこっそり見ていたそうです。
黒沢明、三島由紀夫、村上春樹に鳥山明
このように多くの人たちの幼少期には、毎日刻まれたドラゴンボールの記憶があります。「ドラゴンボールという作品で育まれた多くの世代との交流が可能になった感動的な瞬間だった」「ドラゴンボールのおかげでよい人になることができた」「ドラゴンボールが生き方を教えてくれた」「毎日の生活に希望が持てた」など賛辞の言葉は枚挙にいとまがありません。 スペイン語に吹き替えされたアニメだけではなく、シリーズや映画などに発展した媒体を見ていたり、日本語も読めないのに少年ジャンプに連載された原作の漫画を見てストーリーを追ったり、果てにはそのまま日本語を覚えた人もいたそうです。 アルゼンチン人の間で有名な日本人の一人として、黒沢明や三島由紀夫、近頃では村上春樹と並ぶ鳥山明先生の偉業は、その作品にとどまらない影響力を与え続けています。筆者も90年代やっと手に入れたVHS録画をまだスペイン語字幕がないので、ライブで通訳しながら見てもらったことがあります。
当時日本人である私に誇らしそうに自分たちの書いたイラストを少年達が見せてくれたことがありましたが、待ち合わせがカメロットというアニメ・マンガ専門店のお店でした。今思えばドラゴンボールのカメカメハや亀から由来の店舗名だったと思い出しました。 ドラゴンボールファンの数はもちろん多いですが、オベリスコでここまで集まり、また大勢が手をあげて丸腰のようになるので、スリや泥棒を防ぐ余地がないにもかかわらず、たくさんのファンが集まる大変穏やかな集会でした。 国境を越えて愛された鳥山明氏のマンガのスタイルはアルゼンチンのクリエイターに多大な影響を与えた、いえ、与え続けています。 そのほか第二、第三の都市、ロサリオやコルドバなどでも同様な会が開かれた(https://animeargentina.net/noticias/akira-toriyama-10-lugares-en-argentina-donde-homenajean-al-autor-de-dragon-ball/)そうです。(ブエノスアイレス 3月12日 相川知子)