全国1位の野菜産地、消費も増やそう カゴメと連携し職員も率先 茨城県鉾田市
機器「べジチェック」で測定 レシピ公開も
日本一の野菜産地が率先して、野菜を食べよう──。2022年の市町村別農業産出額で野菜と芋類が全国1位の茨城県鉾田市の若手職員が本年度、「野菜を食べようプロジェクト」を発足させた。「まずは職員の野菜摂取量を増やそう」と、摂取量の測定やレシピ紹介などの普及活動を開始。活動は市のホームページ(HP)で紹介し、市民にも波及を目指す。 同市は、14~22年の9年連続で野菜の農業産出額が全国1位。管内ではメロン、イチゴ、トマト、ホウレンソウなど多様な野菜が生産されている。 一方、都道府県単位の野菜摂取量などを調査した16年の国民健康・栄養調査によると、茨城県民の1日の野菜摂取量は約280グラム。厚生労働省が定める目標(350グラム)には届いていない。 市は、22年10月にカゴメと包括協定を締結。双方が強みとする野菜に注目し、小中学校での食育活動や、推定野菜摂取量を測定する機器「べジチェック」の設置、食生活改善推進員と連携したレシピ集作成などを進めてきた。本年度は協定を発展させ、市の「野菜をきっかけにした健康なまちづくり推進事業」を同社に委託した。 4月に発足した「野菜を食べようプロジェクト」は、同事業で掲げる働き盛り世代の野菜摂取増進を後押しする。まずは市職員約600人を対象に月1回、来年2月までに計10回、ベジチェックで測定。既に2回の測定を終え、市の平均値は5と、カゴメが目安とする7~8には届いていない。 市は庁内掲示板で平均値の公表、旬の野菜やレシピ紹介、個人の表彰、年代別の数値分析などを企画。市のHPでは、プロジェクトを市民に知らせる。市は「職員を中心に活動の輪を市民へも広げたい」(まちづくり推進課)と話す。カゴメとは市内の全小中学校など12校で、トマト栽培や農家を招いた学習などの活動も展開。市内各所で「ベジチェック」を活用したイベント、市民参加型のレシピコンテストなども行う。(志水隆治)
<メモ>野菜摂取量
19年の国民健康・栄養調査によると、1日の野菜摂取量は平均280・5グラムで、男性288・3グラム、女性273・6グラム。この10年間で大きな増減は見られない。年代別では、男女とも20~40代で少なく、60代以上は男女とも摂取量が300グラムを超えている。
日本農業新聞