「男と言ったら男」Xでデマ拡散 当事者の思いや識者見解聞く
誤った情報を見抜くためには
ネット上のさまざまな情報の真偽を確かめる機関で、今回のポストの事実検証も行った「日本ファクトチェックセンター」の古田大輔編集長(46)は「140万回以上の表示回数は、新聞社の1本1本の記事よりよっぽど多い。今のネット時代には、ソーシャルメディアの書き込みがマスメディア以上に見られているというのはよくある。そして今回の投稿は、トランスジェンダーの人たちへの差別につながりかねない深刻なもの」とする。 記事が拡散された背景について「テレビや新聞の記事は、尺や行数の問題があり、短く、ポイントしか書かれていない。例えば今回のニュースでは、最高裁の違憲決定や性別変更の要件など、一連の流れが分からなければ、この記事だけで理解するのはやや難しい」と指摘する。「もっと長く、丁寧に書く必要がある。今回の記事だと、最高裁の決定や特例法に関するリンクを付けることで、読んだ人が自分たちで確認することができる」と話す。 ジェンダーやLGBTQに関する間違った情報が拡散されがちなことについては「当事者の権利や公正な社会について議論される中で、自分たちの権利が脅かされるのではないか、今の社会の秩序が壊れるのではないかと考える人がいるため」とし、今回のポストに関しても「『男と言ったら男、女と言ったら女』だったら、社会の秩序が壊れるのではと恐怖感や怒りを覚えた人たちが拡散させている」と言う。 それでは、ネット上で誤った情報を見抜くためにはどうすれば良いのか―。古田編集長は、発言元の確認を挙げる。例えば能登半島地震では「家に閉じ込められている」という投稿が拡散されたが、その一つ前の投稿は外国語だったという。「直前まで日本に住んでいなかった人が、突然能登半島で地震の被害に遭い、日本語で救助を求めるのはおかしい。このように一つ前の投稿を調べるだけで、それが正しくなさそうだと分かる」という。また、同じニュースでも、ネットメディアや新聞などがどのように書いているか、複数のソースで情報を比較することも重要と指摘する。