青森・五所川原市の官製談合事件 前副市長らに1年6月求刑 青森地裁で初公判、2被告起訴内容認める
青森県五所川原市発注の工事を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪に問われた前副市長の男(71)、主に市政与党派の建設業者らでつくる「五所川原建設技術研究会」の事務局長だった男(70)=いずれも同市=の両被告は25日、青森地裁(藏本匡成裁判官)の初公判で起訴内容を認めた。検察側は「市の指名競争入札を骨抜きにし、入札の公正を著しく害した悪質な事案」として、それぞれに懲役1年6月を求刑。弁護側は執行猶予を求め即日結審した。判決は1月15日。 起訴状によると、両被告と同研究会理事だった男(70)=同罪で起訴=は2021年11月11日の市営住宅外構工事3件の指名競争入札で、同研究会の加盟業者に落札させようと共謀。研究会の会合で選定した落札見込み業者を、市指名審査会に内申するよう前副市長が市建設部長(当時)に指示し、取り決め通りの業者に落札させたなどとされる。 検察側は冒頭陳述で、市指名審査会の会長を務めていた前副市長は、同研究会理事だった男に19年ごろから工事の概要や設計金額などを電話で漏らし、事務局長だった男は理事だった男から入札情報を得ていた-と説明。証拠調べでは、過去の入札のうち、同研究会の加盟業者による落札率に言及。前副市長が就任した18年度は53%だったが、翌19年度以降に急上昇し、21年度は95%に上ったことを明かした。 被告人質問で、前副市長は動機について「6年前の市長選で、苦しい選挙戦を戦ってくれた業者に便宜を図る目的だった。引き続き支援してほしい気持ちもあった」などと語った。 検察側は論告で、市長を支援する業者に便宜を図ることで支援を強固にしたいという前副市長の動機は「極めて身勝手で、厳しい非難が加えられるべき」と指摘。事務局長だった男には「(事務局長として)月10万円の給与を得ており、職業的犯行」などと批判した。 一方、弁護側は「前副市長は経済的利益を得ておらず、犯行には積極的に関与していない」「事務局長だった男は従属的な立場に過ぎない」などと主張し、寛大な判決を求めた。 この日、両被告は開廷の数分前にそれぞれ入廷。視線を合わせ会釈を交わし、弁護人の前方の長椅子に並んで座った。前副市長は、情状証人として出廷した妻の尋問で目を赤くし、右手で涙を拭う場面もあった。 理事だった男の初公判は、27日に同地裁で開かれる。