TPOに合わせた着付けのコツ。「礼装」と「カジュアル」で着物姿はどう変わる?
シリーズ4冊が好評発売中の「いちばん親切な着物の教科書シリーズ」(世界文化社)より、新春から役立つ着物知識を全10回でお届け。第8回は最新刊『人に着せる着付けと帯結び』から一部を抜粋して、自分が着るときにも役立つ、TPOに応じた着付けのコツをお届けします。 ・「礼装」と「カジュアル」の着付けのポイントを写真でまとめて見る>>>
「礼装」か「カジュアル」か
洋服のようにデザインに種類があるわけではない着物は、いかに着る人の「TPO」と「年齢や体型」に合った着付けをするかが問われます。 着物が礼装かカジュアルかは、「前帯幅」「お太鼓の大きさ」「半衿の分量」の目安になります。
基本の考え方
●前帯幅 礼装は幅広に、カジュアルは年齢や体型、雰囲気に応じて幅を調整します。 ●お太鼓の大きさ 礼装はやや大きく作り、垂れが人差し指の長さ一本分よりも短くならないように気をつけます。お太鼓は小ぶりなほどカジュアル感は増します。 ●半衿の分量 白半衿の場合でも、礼装は衿幅をやや広めに取ります。逆に細めにすればするほどカジュアル感は増します。
〈礼装〉の着付けのポイント
●前帯幅、半衿幅は広めに取って華やかさを出す 2巻き目で前帯の幅を出します。あらかじめ前帯を体の前に当ててみて、柄や帯幅を決めます。半衿幅は広めのほうが華やかです。
●お太鼓は大きめに、垂れは短くなりすぎないように カジュアル用のお太鼓よりもやや大きく、垂れは人差し指一本分取ります。また年齢が若いほどお太鼓の位置は高くします。
〈カジュアル〉の着付けのポイント
●前帯幅、半衿幅は細くするほどカジュアルに 礼装は前帯幅、半衿幅は華やかさを優先して幅広に取りますが、カジュアルでは年齢や体型、雰囲気に合わせて調整します。
●自由な帯結びでおしゃれを楽しみます お太鼓は小ぶりなほどカジュアルな雰囲気に。さまざまな形の帯結びや半幅帯での装いも楽しめます。
大久保 信子
着物スタイリスト、江戸着物研究家、NHK文化センター青山教室講師、三越日本橋本店三越カルチャーサロン講師。きもの雑誌やテレビ・CMで多くの女優の着付けを担当。絶大な信頼を得ている。いちばん親切な着物の教科書シリーズ『人に着せる着付けと帯結び』大好評発売中。 ※明日は、「美しく見える補正のコツ」について解説します。