【コラム】ジローナ、バルセロナファンだらけの町に生まれた誇りのサッカークラブ…カタルーニャ語を覚えたマドリード出身監督が奇跡を起こす
■我が町のクラブを愛するということ
この町の若者がジローナFCを応援することは、ごく当たり前の行為となった--私は先にそう記したが、今なおジローナでFCバルセロナが絶大な人気と影響力を持っていることだって、否定はしない。若い子たちが常勝軍団に惹かれるのは当然のことだろう(今が本当に常勝軍団かはさておいて……)。だが、それでも今のジローナFCにはジローナFCだけの魅力があり、赤白のユニフォームを着てモンティリビにやって来る若者や子供たちは確実に増えている。このスタジアムの収容人数はたった1万4000人だが、ほかのスタジアムにはない歓喜と誇りに包まれている。 ……次の試合の舞台、マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウの収容人数は8万4000人? そんな差がどうだって言うんだ。私たちは選手たちを近くで応援することのできる、せせこましいスタジアムが誇らしく、愛らしい。そして、たとえ次の首位決戦で敗れようとも、ミチェル率いるジローナがクラブ史上最高のシーズンを過ごしていることは変わらない。 ビッグクラブのファンの諸君は自分たちが負けたとき、「格下に負けるんじゃない」と、どうぞ悪態をつけばいい。私たちはマドリーとの試合がどんな結果になっても、次のモンティリビの一戦でマフラーを掲げ、声を張り上げるだけだ。 カタルーニャ語を話すマドリー出身監督と彼の率いる選手たちは少なくとも、胸を打つ情熱だけは約束してくれている。 文=カルロス・マルティン・リオ/Carlos Martin Rio(スペイン『パネンカ』誌、ジローナ出身記者) 企画・翻訳・構成=江間慎一郎