【野球部訪問・神村学園③】昨秋、新チーム始動期間はたったの一週間! それでもセンバツに勝ち上がった「魔法の合言葉」
第96回選抜高校野球大会、第5日目の第1試合に登場する神村学園(鹿児島)。昨夏の甲子園4強メンバー10人が残り、昨秋の公式戦チーム打率3割8分と強力打線を武器に勝ち上がってきたが、新チーム結成当初は慌ただしいスケジュールの中で準備してきた。 【動画】受け継がれる神村学園らしさ。“繋ぐ野球”をもう一度甲子園の舞台で見せる。 8月21日に準決勝で仙台育英に敗れ、翌22日に鹿児島へ戻った。その時にはすでに県大会は始まっており、神村学園が初戦を迎えたのは6日後の28日。野手陣に経験者が多い一方で、バッテリーの経験値は決して高くなく、また主将もなかなか決め切れなかった状況の中で、急ピッチで準備を進めた。 その中で、小田監督が選手たちへ伝え続けたのは「失敗OK、ミスOK」の心構えだった。 「新チームがスタートした当初は、失敗OK、ミスOKとずっと言ってきました。ミスと失敗の違いは、失敗とは成功の糧になるもので、ミスとは考え方や取り組み方で防げたものと考えています。最初は失敗もミスもどちらもあることなので、それはOKだよと伝えてきました」 選手たちの試行錯誤に目をつぶり続けたことで、徐々にチームに変化が見え始める。 不安要素の一つだったバッテリーは、左腕の今村 拓未(新3年)が一本立ちし、捕手には木下 夢稀(新3年)が定着。また遊撃手だった藤田 侑駿(新3年)を、一塁手に据えるコンバートが見事にハマり、神村学園は破竹の快進撃を見せた。 選抜甲子園へ出発を目前に控えた3月6日、小田監督は次のように語っていた。 「これまでは失敗OK、ミスOKでも大丈夫でしたが、これからはそうはいきません。失敗はOKですが、ミスは許されなくなります。まだまだ夏まで時間はあるし、今が最高のチーム状態じゃないよね。だからまだたくさん失敗して、夏にまた勝ち上がれるように色んなことにチャレンジしようと選手には言っています。 ただ、やっぱり考え方や取り組み方で防げるもの、ボーンヘッドは無くさないといけません。アウトカウント間違えたり、サインミスしたり、そういった誰もができることをミスするのだけはやめようよ。練習試合が解禁になり、6試合をこなしましたが、ここまではミスは少なく、しっかりとゲームにはなっています」 徐々にチームの輪郭がはっきりと見え始め、これから求めるハードルも高くなる。まずはここまでの試行錯誤を、22日の初戦でぶつけるつもりだ。