さようなら都電荒川線7000形 60年余の運行の歴史に幕
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都電荒川線(愛称:東京さくらトラム)の荒川車庫(東京都荒川区)で11日、60年以上のあいだ東京を走り続けてきた都電7000形車両の運行終了を記念する「ありがとう7000形イベント」が行われ、鉄道ファンや地元の人々が別れを惜しんだ。
都電7000形車両が運行を開始したのは1954(昭和29)年。以来、品川駅-上野駅間をはじめ多くの路線で都民の足として走り続けた。交通量の増加などにともない、ほかの路線が廃止された末、1972(昭和47)年以降は都電荒川線だけで運行し続けてきた。車両の老朽化や省エネ効果の高い車両への転換のため引退が決まった。 「自分を育ててくれたのは7000形。正直言ってさびしいですね」と語るのは、都電荒川線で約6年の乗務経験があるという東京都交通局電車部運転課の二瓶明さん(40)。7000形は、新型の車両よりもブレーキ操作が難しく、最初のころは苦労させられたという。
会場となった荒川車庫には、10日午前を最後に運行を終えた7022号車と、それよりも前に引退した7001号車、7002号車が展示されていた。車内に入ってみたところ、ワンマン運転の実施にともない車体の改修が行われたためか、さほど古いとは思えなかったが、運転席の使い込まれたレバーやスイッチからは年季の入った様が感じられた。 イベントでは、7000形の撮影会や都電関連グッズの販売などを実施。このうち、撮影会には一般公募で選ばれた約1000人が参加。「戦後すぐのころから都電の写真を撮っている」という墨田区の男性(83)は、デビュー当時の7000形を振り返って、「当時としては、窓の配置など斬新なスタイルの車体だと感じたね」と懐かしんだ。 荒川車庫から徒歩数分のところに住んでいるという男性(69)は、「(7000形は)子供のころから知ってるよ。古い車両も残して欲しいけどねえ」と別れを惜しみつつ、孫の男の子(3つ)とともに会場をあとにした。 都によると、引退した車両の活用方法は現在検討中という。 (取材・文:具志堅浩二)