非正規公務員の実態調査 「困難女性を支援する側が困難女性」の矛盾深刻化
「会計年度さん」が呼称
今回の調査では、職場での呼称についての設問もあった。名前や職名で呼ばず、「会計年度さん」や「会計さん」「(職務級の)2級」などの呼び方をされたことが「ある」という回答は30%にのぼる。「職種で呼ぶべき場面で『会計年度さん』という呼ばれ方をして不快に感じた(50代 家庭児童相談員)」という記述もある。 はむねっとでは、この呼称問題に、導入から5年度目となる会計年度任用制度が定着しつつあることの表れととらえ、非常に危機感を持っているという。同じ職場で数年かそれ以上、責任を持って働き続けている人であっても、名前や職名ではなく雇用形態で呼ばれていることは、いつ雇い止めでいなくなってもおかしくない人なのだという意識の表れだろう。 実際、退職した人に対する設問で辞めた理由を聞いているが、回答の40%が「雇い止め」だった。1年ごとの任用で過失がなくても、また低評価でなくても辞めさせることができる制度が、公務の現場で実施されているのだ。 妊娠中に辞めさせられた30代の事務職員は、労働局に相談したがマタニティハラスメントとして取り扱われなかったため「このような扱いを受けるのであれば、子どもを産む世代や育児をしている世代は、安心して働けません」と答えている。少子化対策を担っている行政が、子育て世代の職員にこのような対応をするというのは、大きな矛盾ではないだろうか。 はむねっとの調査結果は、有期雇用の濫用が全国の自治体で起きていることを明らかにしている。解雇規制の緩和について議論が起きているいま、「有期雇用は濫用してはならないということを、公務の現場から実現させていくことが重要」と瀬山さんは強調する。そして「会計年度任用職員制度は働き手にとって権利がない状態である」として、公務職場における安定雇用の実現を求めた。
古川晶子・ライター