「第3のクルマ」というイノベーション! ホンダ「ストリーム」とはどんな乗りもの?
乗用車の居住性とゆとり、2輪車のスムーズな軽快さ
2輪車の国内生産台数は、1980年には約650万台にまで増え、この時期にピークを迎えていました。1970年代はバイクの性能向上はもちろんのこと、エンジンや車体の構造や製造技術の現代化が進み、どんどん新しいバイクが生み出された時代です。 【画像】ホンダ「ストリーム」(1981年型)の詳細を画像で見る(9枚) 輸出車両では排気量1000ccクラスの大型バイクも登場しましたが、国内では50ccの原付バイクがビジネス実用車やスポーツモデル、さらにレジャーバイクやファミリーバイクまで、数多くのカテゴリーが誕生します。さらに各メーカーはそのカテゴリーそれぞれに複数台の車種を投入するほど飽和状態の市場になっていました。
そんなバイクブームの中で、革新的な乗りものが登場します。1981年に発売されたホンダ「ストリーム」です。「乗用車の居住性と快適さ」と「2輪車のスムーズで軽快な走り」を両立し、しかも経済的というバリューを持つ「第3のクルマ」というユニークな位置付けでした。 構造的にはフロント1輪/リア2輪の3輪車ですが、フロント部分はライダーの乗車スペースでもあり、旋回時はバイクの様に傾きます。フロント部分に連結したリア部分にエンジンや駆動系、リア2輪があるというものでした。 駐車中は4輪車のようにパーキングブレーキを使い、車体は傾くことなく固定されます。乗車する際はバックレストの付いたシートに腰かけ、足を前方へ伸ばし気味に座ります。それはまるで乗用車の運転席を思わせる、のびのびとした乗車姿勢と居住空間です。 既存のスクーターは膝を直角に曲げ、足をシートのすぐ前に置いていましたが、「ストリーム」は「ボンネットスタイル」と呼ばれたフロントカウル部分の下に設けられた広いステップフロアに足を伸ばします。シート高は658mmで、両足がラクに地面に届きます。 現代のスクーターでは一般的な前方に伸びるステップフロアは、この「ストリーム」から始まっています。