広野に茶室「方丈の庵」 鴨長明の住居再現、学生が協力 福島県広野町
福島県広野町箒平地区の松元孝一さん(75)方で「方丈の庵(いおり)」が22日、完成した。庵は県内外の学生が作業体験などで協力し、4月から制作を進めてきた。松元さんは「建築を体験する場所としてぜひ足を運んでほしい」と話す。 「方丈の庵」は方丈記を執筆した鴨長明の晩年の住居とされる庵を再現している。ロフト付きの茶室で木製パネルの壁や天井に竹を敷き詰めた。町中心部を離れた箒平地区の静かで豊かな自然を楽しめる。 松元さんは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後に町へ移住した。1級建築士の資格を持ち、地域を訪れた学生と交流した縁から、県内外の大学生や中学生が庵を訪れて建築に携わった。DIY(自作)を経験して、災害時にも力を発揮できる人の養成を目的に取り組んできた。 庵は将来的に、災害時の簡易型建物として応急仮設住宅などへの活用を見込む。また、竹の再利用を通じて相双地区での林業の6次化に貢献することも視野に入れている。「建物の良さを感じ、建築してみたいと興味を持った人はぜひ声をかけてほしい」と話す。