三菱ふそうとニコン、望遠レンズと広角レンズを一体化した車載カメラシステムを「CES2025」で初公開
三菱ふそうトラック・バスとニコンは12月19日、望遠レンズと広角レンズを一体化し、遠方と周辺を確認できるトラック・バス向けの車載カメラシステムを、米ラスベガスで開催される「CES2025」で初公開すると発表した。 三菱ふそうとニコンは、2020年から共創活動を行なっており、両社の共創により開発された車載カメラシステムの主な特徴としては、望遠レンズと広角レンズの一体化を実現し、遠方と周辺を同時に撮影することが可能。 遠方と周辺の光軸が同一のために視差が生じないことから、AIが車両周囲の情報を画像認識する際に、遠方で認識した標識や他車をトラッキングしても、対象を見失ったり二重に認識したりする問題を減らせるという。 また、望遠レンズと広角レンズを一体化したカメラシステムを効果的に車体に配置することにより、車両に設置するカメラ台数を抑えられ、従来の課題であったシステムコストや故障率などの低減が期待できるとしている。 ■ 開発の背景 特に車体が大きな大型トラックの場合、ドライバーが目視できる範囲は限定的となるため、車両左側や車両前方直下などの死角になりやすい位置にいる歩行者やバイクなどの対象物の検知は、トラックの安全において重要で、トラックやバスではこのような車両周囲の検知において、車載カメラやミリ波レーダー、LiDARなどから得られる情報によって周囲の状況を判断し、安全を確保している。 両社の共創により開発した車載カメラシステムは、車両周辺や遠方の全周囲360度を途切れなく見ることが可能なため、トラックやバスの死角になりやすい周囲の情報を瞬時かつ的確に検知できることが特徴。望遠レンズと広角レンズを一体化したレンズを車両周辺に効率的に配置することで、車両の前後左右の全方位を360度確認することができるとしている。 また、このカメラシステムでは、車両周辺の物体を広角レンズと望遠レンズで認識する際、同じ軸のレンズで捉えることができ、映像のずれがなくスムーズに被写体を捉えることが可能なため、AIで瞬時に道路標識や車両周囲の歩行者などの対象物を認識する際の精度向上に貢献するという。 車載カメラによって車両周囲の対象物を素早くかつ正確に確認することで、安全運転の確保におけるドライバーの精神的疲労の軽減が期待されるとともに、カメラの視認性向上によって、車線維持機能などの運転自動化機能の性能向上にもつながり、特に長時間の運転を伴う大型トラックのドライバーの疲労軽減にも貢献するとしている。
Car Watch,編集部:椿山和雄