若手主導でテナントミックス、24店舗誘致して商店街活性化 京都府福知山市の駅正面通り
京都府福知山市の福知山駅正面通り商店街を中心とする駅正面エリア(駅北)の活性化に取り組む福知山フロント株式会社(杉本潤明社長)と駅正面通商店街振興組合(岸本道徳理事長)が、中小企業庁の「地域にかがやく わがまち商店街表彰2024」に選ばれた。 地域の個性や多様性を伸ばし、エリア価値を高めることによって、持続可能なまちづくりにつなげる取り組みを行う商店街組織を表彰するもの。全国の商店街で高齢化が進むなか、駅正面通り商店街では若手主導で改革をしていること、商店街のみならず地域全体に活気を生み出していることが評価された。 1970~80年代のピーク時には90店が軒を連ねたが、駅北にあった大型商業施設の閉店をきっかけに、シャッターを閉めた店舗が目立つようになった。その状況を打破するため、2015年の春、市から「商店街の活性化に取り組まないか」と声をかけられた。 「この機会を逃すと、商店街再生のチャンスはない」と、当時70~80代で商店街役員だった人見茂さんや秋山保彦さんが覚悟を決め、30~40代の若手経営者とともに「脱シャッター街」に向けて結束。民間のまちづくり会社として、福知山フロントを15年12月に設立した。 商店街を中心とする駅正面エリアを対象に若手主導で再興に着手。ニーズに合った業種業態を誘致し商店街の店舗構成を行うテナントミックス事業に力を入れ、これまでに24店舗(開業予定含め)を空き店舗に誘致。経済産業省などの補助金を活用して出店者への支援を行い、退店リスクの回避にも努めた。 若手メンバーたちが動きやすいように高齢メンバーたちが下支えして、台湾に特化したインバウンド誘客事業、中心市街地を歩いて回ってもらうための観光ガイドマップを作成するなど、さまざまな事業をスピード感を持って推進してきた。 手を緩めることなく次に打って出たのが、元パチンコ店だった銀鈴ビルのリノベーション。8店舗を誘致し、複合商業施設として23年5月に開業。24年3月までの11カ月間で、来客数2万3千人、売り上げ7800万円を記録し、「商売が成り立つエリア」として認知されるようになり、最近では福知山フロントを介さない自主出店者が複数現れている。 駅正面通りを含め全国で10商店街が選ばれ、23日に東京都千代田区の経済産業省本館で表彰式があった。 福知山フロントの杉本社長は「行政からの補助金をただもらうばかりの団体ではなく、我々は『たくさんもうけてしっかり納税しよう』を合言葉に取り組んできました。商店街に出店希望者が増えつつあり、地域の価値が高まっています。もっと人を見かける商店街にしていきたい」と話している。