センバツ高校野球 常総学院に春便り 3度目の頂点目指す /茨城
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を決める選考委員会で26日、常総学院が3年ぶり11回目の出場権をつかんだ。2023年秋の関東大会での4強入りが評価された。春夏通じて21年センバツ以来となる甲子園で、通算3度目の全国制覇を目指す。大会は3月8日に組み合わせ抽選会があり、18日に開幕する。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 土浦市内の校内で選考委員会のライブ中継に見入った部員と保護者ら約150人は、午後3時45分ごろ、関東地区の4番目に「常総学院」と呼ばれると、大きな歓声を上げた。 続く報告会で、壁谷恵校長は「誇りを持って、常総らしい思い切ったプレーを」と激励。大久保政行理事長は「常総旋風を巻き起こして」とエールを送った。若林佑真主将(2年)は「いろんな方の支えがあっての結果で、感謝の気持ちでいっぱい。自分たちのプレーを全力でして、勇気と感動を与えたい」と抱負を語り、島田直也監督は選手らに「1日でも長く試合することが恩返しになる。今日からまた頑張ろう」と呼び掛けた。 その後、野球部はグラウンドで改めて記者会見。島田監督は「(就任直後に出場した)前回は右も左も分からないまま教えたらうまくいき、そのままやっていけばと思ったが、そう甘くなかった。前よりうれしい」と顔をほころばせた。今のチームは「自分を犠牲にしてでも(打線を)つなぐ。(打順の)どこからでも点数を取れる。3年前より守備も自信を持って臨める」という。昨夏の甲子園で4強入りした土浦日大にも触れ、「負けてられない。茨城の野球が強くなったところをみせたい」と力を込めた。 若林主将は「(校名が呼ばれて)鳥肌が立った。優勝を目指し、(関東大会4強の)秋からこれくらい変わったぞ――と見せられるように頑張りたい」と意気込んだ。 選考委員会から「本格派」と評されたエース・小林芯汰(2年)は「自分の強みである真っすぐを最大限生かす。絶対に日本一になる」と決意。主軸の武田勇哉(同)は、「チームの目標は優勝することなので、ようやくそのスタートラインに立ててうれしい。これからだ」と気を引き締めた。【長屋美乃里、鈴木美穂】 ◇関東大会、3年ぶり4強 2023年秋季県大会は準決勝まで4試合をコールドで圧倒。関東大会でも1回戦の専大松戸(千葉)戦は18安打9得点でコールド勝ち。準々決勝の花咲徳栄(埼玉)戦も17安打10得点を挙げ、準優勝した20年以来、3年ぶりに4強入りした。 関東大会で6打点の武田勇哉(2年)が4番に座り、同大会で打率3割超えの片岡陸斗(同)や主将の若林佑真(同)らも小技を絡めて攻め立てる。投手陣は最速147キロのエース・小林芯汰(同)を筆頭に、斎藤一磨(同)や、左のサイドハンド・平隼磨(同)、大川慧(同)らが控えている。 1983年に創立した私立の男女共学校。「自主・誠実・創造」を校訓に掲げ、勉学にも力を入れる。2022年度卒業生の大学現役進学率は91%で、過去5年間で延べ52大学の医学部医学科に卒業生が合格した。 野球部OBには、プロ野球・巨人と横浜で活躍した仁志敏久さんや、ロッテの金子誠コーチらがいる。その他の部活動も盛んで、吹奏楽、バドミントン、水泳などの各部が全国大会の常連。【川島一輝】 ◇水戸や土浦で号外2000部配布 常総学院のセンバツ出場決定を受け、毎日新聞社は26日、特別号外2000部を発行し、JR土浦駅や水戸駅周辺で配布した。号外は「常総学院に春切符」の大見出しとともに、練習風景の写真や戦績などを掲載した。 水戸駅では午後4時半ごろから販売店関係者4人が配布。受け取った龍ケ崎市の大学生、福田純さん(19)は「両親が(故)木内幸男監督の時代から応援している。センバツで若さと元気をぶつけてほしい」と話した。【鈴木敬子】 ◇「夏に向けて精進」 水戸一に吉報届かず センバツ初出場を目指していた21世紀枠候補校の水戸一に春の便りは届かなかった。 選手たちは通常授業や掃除を終えた午後4時20分ごろ、「一球入魂」の精神を提唱した早大野球部初代監督で同校OBの故飛田穂洲(すいしゅう)氏の像の前に集合。神妙な面持ちのまま、御厩(みまや)祐司校長から報告を受けた。 御厩校長は「全国で最も学校数が多い関東・東京地区で21世紀枠の代表校になった事は、野球部133年の歴史で快挙。皆さんのことを誇りに思う」とねぎらった。 津田誠宗(せいしゅう)主将(2年)は「素直に悔しい。夏は自分たちの手で甲子園のチャンスをつかめるように精進したい」と唇をかんだ。エースの小川永惺(ひさと)(同)は、「こんな経験ができたのは、秋に皆で頑張れたおかげ。人生のプラスになった」と語り、「(結果を聞いて)吹っ切れた。春夏と県で優勝して、甲子園に出る」と前を向いた。【川島一輝】 ……………………………………………………………………………………………………… ◆センバツまでの軌跡 ◇秋季県大会県南地区1次予選 2回戦 ○3―2 江戸川学園取手 代表決定戦 ○2―1 つくば国際大高 ◇秋季県大会県南地区シード決定戦 準決勝 ○4―3 霞ケ浦 (延長十回、十回からタイブレーク) 決勝 ○5―3 藤代 ◇秋季県大会 2回戦 ○14―0 日立商 (五回コールド) 3回戦 ○10―2 日本ウェルネス (八回コールド) 準々決勝 ○ 7―0 水城 (八回コールド) 準決勝 ○ 8―1 水戸一 (七回コールド) 決勝 ○ 8―0 鹿島学園 ◇秋季関東大会 1回戦 ○ 9―2 専大松戸 (八回コールド) 準々決勝 ○10―5 花咲徳栄 準決勝 ● 2―7 作新学院