“死のブロック”を勝ち抜くことが「自分たちの証明」になる。王者・青森山田は雑草魂を持って連覇に挑戦
“死のブロック”を勝ち上がり、自分たちの力を証明する。選手権前回大会優勝校の青森山田高は、今大会の第1シード。組み合わせ抽選会によって、高川学園高(山口)と初戦で戦うことが決定した。 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 組合せ表の左端に入っていた前回王者の近くに続々と有力校が集まった。初戦で対戦する高川学園は、3年前の選手権準決勝で対戦した相手。当時は6-0で快勝したが、インターハイ王者として出場した2005年大会では当時多々良学園高だった同校に2-3で競り負けている。 また、同じプレミアリーグ勢の静岡学園高(静岡)、尚志高(福島)、東福岡高(福岡)がAブロックへ。加えて、同ブロックには、大阪王者の阪南大高(大阪)やプリンスリーグ北信越1部上位の新潟明訓高(新潟)、長崎の名門・長崎総合科学大附高など力のある高校が揃っている。 ただし、昨年の優勝メンバーで、抽選会に参加したDF小沼蒼珠主将(3年)は「Aブロック入って徐々に対戦相手が決まっていく中で、プレミア勢の強豪のチームだったり入ってくる時に『うわ、面白いな』って思って、楽しみっていうのが1番の感想です」と微笑む。 激戦ブロックを勝ち抜くことが、自分たちの力を示す機会になるという考えだ。「自分たちの証明にもなりますし、それが俺たちの積み上げてきたものの証明なんだと思うので、強豪ぞろいで良かったかなって」と前向き。中でも青森山田は注目される存在だ。 選手権優勝メンバーの大半が卒業した今年の前半戦は、苦戦。それでも、インターハイで8強入りし、プレミアリーグEAST後期には4連勝を記録するなど巻き返した。リーグ戦での18失点はプレミアリーグEAST、WEST含めて最少。小沼は「個人個人で比較したら、まだまだ到底去年には及ばないんですけど、チームとして見たら全然去年と引けを取らないような、青森山田らしいチームになってると思うので、そこに関しては自信持って戦いに挑めると思います」と説明した。 激戦区を勝ち抜くことはもちろん簡単なことではない。対戦する高川学園のDF沖野眞之介主将(3年)は、「(青森山田は)勝ち上がっていったら絶対に当たる相手だと思ってたんで、初戦から倒しておけば日本一も夢ではないと思います」と前回王者との対戦に前向きだ。 テレビで見たという3年前の敗戦は、「セットプレーを与えさせてもらえなかったのもあったので、自分たちは逆に攻撃でいいリズム作りながらセットプレーも取って、そこでいい流れを作れたらと思っています。この1か月間、セットプレーにも時間掛けて、練習の中身もちゃんと突き詰めていって、時間掛けてまず2回戦で勝つっていうことを前提に練習していきたいと思います」。セットプレーの強さは青森山田のウリだが、それは高川学園にとっても大きな武器。大黒柱の主将は「フィジカル面でも絶対に負けちゃいけないし、守備から攻撃に繋げれるように。(セットプレーで)自分が決めてやる」という思いも口にしていた。 青森山田の小沼は1年前、ロングスローや迫力のある攻守で大会を盛り上げた。そのDFは1年前に国立競技場で見た景色をしっかりと覚えているという。「ほんとに入場した時の観客の視線とか、その時の体温とか、温度だったり、冷たさだったり、そういった五感で全て覚えてるのが決勝戦ですし、ほんとに自分の中での凄い本当に今後のサッカー人生を変えたものだと自分は選手権の決勝について思うので、もう一回、あの舞台に戻って、もう一回勝って優勝したいっていうのがほんとに強いです」。そのためにも、苦しいシーズンの中で積み上げてきたものを全て表現する。 「春遠征の時から『雑草魂』としてワードつけて、自分たちで下から下からチャレンジャー精神を持ってやってきたので、それは選手権でもやることは変わらないのかなって思っています」。小沼やMF谷川勇獅(3年)ら前回大会優勝の経験者に加え、今大会屈指の守護神・GK松田駿(2年)やFW石川大也(3年)らの台頭もある。連覇を狙う王者・青森山田は、積み上げてきた攻守と「雑草魂」で激戦ブロックを勝ち抜く。