「一睡もせず現場に行くことも…」 俳優・坂東龍汰の意外と“小心者”な 素顔とは? 舞台『う蝕』に出演
「逃れられない…」演じることの怖さ
――怖さはありますか? もちろんあります。板の上に立つのも怖いし、セリフを噛むかもしれないし、セリフがいきなり飛んでしまうかもしれません。映像の現場でも常にある恐怖です。僕が小心者ということなのかもしれないですけど(笑)、舞台は幕が開いたら巻き戻せませんから、そういう失敗は夢に出てくるくらい恐怖ですね。 ――どうやって克服するのですか? 克服方法はないので、怖がっている状況すらも楽しむしかないと思っています。 岩松さんの舞台の時は吐きそうになっていました(笑)。千秋楽になっても全く楽にはならなかったですね。今回の出演者の中でも、きっと僕が一番緊張すると思います。 映像の現場でも、初日の前夜は眠れません。一睡もせずに現場に行くこともあります。 ――お酒を飲んで、強制的に寝てしまったりしませんか? お酒を飲んでも眠れないです。翌朝残るだけ(笑)。この仕事は一生そういう怖さから逃れられないのだろうなと思います。それでもこれまで頑張って来れたのだから、今回も乗り越えられるだろうと思っています! ――坂東さんは、初主演ドラマは早坂暁さん脚本の『花へんろ 特別編春子の人形』ですし、映画も黒沢清監督、小泉堯史監督、阪本順治監督、瀬々敬久監督ら、そうそうたる監督作品にご出演。最近も北野武監督の『首』にも参加されました。 あの現場の空気を吸えただけでも幸せですよね。役所広司さんとご一緒した『峠 最後のサムライ』、小泉組は人生で一番緊張した現場でした、フィルム撮影だったので、間違えたらフィルムを無駄にしてしまうという恐怖とずっと闘っていましたね。 ――『春に散る』のチャンピオン役が印象に残っています。極真空手をされている横浜流星さんが新人ボクサー役、『ある男』からボクシングを続けておられる窪田正孝さんも出演される中でのチャンピオン役はプレッシャーもあったのでは? もう必死でした。ドラマ『未来への10カウント』で、高校ボクシング部の部長役を演じたので、そこで初めてボクシングを教えていただいて、その経験があったから『春に散る』にも参加できたのだと思います。流星くんは体がバキバキに仕上がっているので、それにどう近づくか。強く見えないといけない役だったので、膨張色の白を着て、少しでも体を大きく見せようとしていました。でも、ボクシングはやっているうちにすごく好きになりました。 坂東龍汰(ばんどう・りょうた) 1997年生まれ、北海道出身。2017年に俳優デビュー。18年、ドラマ『花へんろ 特別編 春子の人形』で初主演。22年公開の初主演映画『フタリノセカイ』で、第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞。最近の主な出演作に、映画『バカ塗りの娘』『春に散る』『首』(共に23年)、ドラマ『リバーサルオーケストラ』(NTV)『王様に捧ぐ薬指』(TBS)『きのう何食べた? season2』(TX 全て23年)など。2月9日より映画『一月の声に歓びを刻め』が公開。4月にドラマ『RoOT/ルート』(TX)が放送。 【衣裳クレジット】 ジャケット38,500円/VETRA(Bshop 03-5775-3266)、ニット50,600円、シューズ68,200円/ともにMARGARET HOWELL(03-5785-6445)、パンツ31,900円/MHL.(03-5785-6445)、その他スタイリスト私物
黒瀬朋子