【センバツ】星稜、石川勢初の4強…公式戦初先発の背番号18が王貞治、桑田真澄に並ぶ2年生無四死球完封
◆第96回センバツ高校野球大会第9日 ▽準々決勝 星稜5―0阿南光(28日・甲子園) 星稜(石川)が5度目の挑戦で県勢初の4強入り。能登半島地震で被災した地元に笑顔を届けた。公式戦初先発の2年生右腕・戸田慶星(けいた)が2安打無四死球で完封。2年生の無四死球完封は、10年ぶり10人目12度目で、王貞治、尾崎行雄、桑田真澄らレジェンドに肩を並べた。29日は休養日。30日に準決勝が行われる。 歴史の扉をこじ開けた戸田はホッとした表情で整列に加わった。5―0の9回2死一塁。最後の打者を右飛に打ち取った瞬間、星稜のセンバツでは石川勢初のベスト4が決まった。公式戦初先発を2安打無四死球の高校初完封で飾り「(今後の日程を考えて)今日は絶対(エースの)佐宗さんを投げさせたくなかったんで。いけるところまでいこうという気持ちで投げました。(今日の投球は野球人生の中で)一番です」と照れ笑い。打っても2回に右前適時打と躍動した。 個人としての快挙も成し遂げた。2年生のセンバツでの無四死球完封は、10年ぶり10人目12度目で、王貞治や桑田真澄に肩を並べた。背番号18の完封はベンチ枠が拡大された03年夏以降で甲子園2人目となった。 先発を告げられたのは26日。緊張しやすい性格ではあるが、仲間から「逆に緊張しろ!」と言われ、気が楽になった。星稜中では左翼手兼控え投手。昨秋の公式戦登板は1試合だけで、優勝した神宮大会もずっとベンチだった。それでも「念ずれば花開く」という好きな言葉の通り、努力を重ねた。冬の期間のウェートトレなどで球速が5キロ上がって最速143キロに。腕の位置を少し下げたことで課題の制球力が良くなり、フォークも習得して進化した。 学校としても悲願の1勝だった。22年以来、2年ぶり5度目の挑戦で“春4強の壁”を打ち破った山下智将監督(42)は95年夏に準優勝の経験がある父の智茂総監督(79)と史上2組目の父子そろって聖地4強だ。「甲子園100年の歴史、96回の歴史がある大会でなかなか超えられなかった壁ですけど、非常にうれしい」と喜びをかみ締めた。 震災が起きた年に塗り替えられた石川県の歴史。指揮官は「(雨で試合は)中止になりましたけど、能登の学校の生徒さんが(応援に)来てくれたり。自分たちだけで戦ってるような感覚ではないですね」とつぶやいた。頂点まであと2つ。地元に吉報を届ける。 (中村 晃大) 【記録メモ】 ▼2年生の無四死球完封 星稜の戸田慶星が無四死球完封勝利。ベンチ入りが18人になった03年夏以降、背番号18の完封勝ちは11年春の1回戦・総合技術戦の履正社・渡辺真也以来2人目。春に2年生で無四死球完封は(新制高校=春は49年以降)、14年1回戦・小山台戦の履正社・溝田悠人以来10人目、12度目。石川勢初。57年に初めて早実・王貞治が準々決勝、準決勝で記録。61年に浪商・尾崎行雄が1、2回戦で、84年PL学園・桑田真澄も準々決勝でマーク。 ▼親子4強 星稜・山本智将監督は、星稜の監督で95年夏準V、76年、91年夏4強の父・智茂さんに続く、甲子園4強。父子二代で4強の監督は、浦和学院の森士(13年春V、92、15年春4強)・大(22年春4強)父子と2組目。
報知新聞社