アナログレコードの音に触れて 150店で同時イベント
アナログ盤人気の再燃がいわれる中、レコードの魅力を知ってもらうイベント「RECORD STORE DAY JAPAN」が18日、都内を中心に150超のレコードショップで行われた。東京・八重洲の音楽ショールーム「Gibson Brands Showroom TOKYO」では、音楽制作に携わるエンジニアやプロデューサーのトークショーや、最新プレーヤーによる愛聴盤の試聴にレコードファンらが耳を傾けた。
今年で4回目「RECORD STORE DAY JAPAN」
RECORD STORE DAY JAPANは今年で4回目になる。もともとはアメリカの700超のレコードショップとアーティストが協力して行ったイベントで、近所のショップに行ってCDやレコードを手にし、音楽を楽しむことを呼びかけたもの。毎年4月の第3土曜日に開かれている。日本でもこれにならい、体系的にイベントを行おうということで、NPO法人ミュージックソムリエ協会が事務局となり、同じ日にRECORD STORE DAY JAPANを行っている。この日は都内を中心に150超のショップで催しが行われた。 これに合わせ、坂本龍一やTHE BAWDIESなどのアーティストが限定アナログ盤など約80作品を発売した。 楽器メーカー、ギブソンのショールームで行われたイベントでは、録音・マスタリングエンジニアやレコーディング・アーティストとして活躍するオノセイゲン氏と音楽プロデューサーの佐藤剛氏のトークショーが行われた。 佐藤氏は、音響の世界では戦後以降の真空管(チューブ)がいまだに使われている例を上げ、「いいものは全部当時のもの。そういう意味で、レコーディング技術が発明された100年ほど前、その頃の技術からある程度行ったところで、既にもっとも幸せな音で音楽は鳴り響いていた。いまはスペック的には進化しているが、それが本当に豊かでいい音なのか」と問いかけた。 昨今のアナログブームに関しては、「復刻版とか、1960年代、70年代、80年代前半の音楽がなぜ生命力があるかというと、そこに本当に豊かな音が録音されている」と語った。 オノ氏は、レコードの溝のカッティングについて解説した。レコードは、小さな音が続いて音のレベルが小さい場合は細い溝になり、線の数が増える。「線の数」=「時間」になるが、レコード盤の面積は決まっているので、レコード作製では、そこに何本の線をいれるか、どのくらいのボリュームの線をいれるか、という「面積」対「音質」対「時間」の三つ巴のせめぎ合いが行われることになるという。 レコードの特性は、LP盤の曲順選びにも影響を与えていたという。「レコードは単純に外側の方が音がいい。(CDやDL全盛の)いまは『B面1曲目』という概念はないが、外側の方が音がいいので、(昔は)A面の1曲目、B面の1曲目には売りたい曲や低音の多いパンチのある曲を持ってきた」。