返済しなくていい「給付型」の奨学金を受けるのは、難しいのでしょうか?
「奨学金の返済が若者の重荷になっている」といったニュースを目にして、なんとか返済をしなくてよい奨学金を受けたいと考えるようになった人は多いのではないでしょうか。給付型奨学金と一口に言ってもさまざまな学校や団体が実施しているものがあり、受給の条件もそれぞれ異なります。 本記事では、アンケート調査の結果などをもとに、貸与型奨学金や給付型奨学金の利用実態を紹介するとともに、給付型奨学金を受ける条件が厳しいのかどうかを解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
奨学金の金額・返済期間の平均は?
カネとホンネ調査研究所が実施した「奨学金についてのアンケート」によると、奨学金の金額の平均は282万円、金額別の割合は図表1のとおりです。 【図表1】
カネとホンネ調査研究所「奨学金についてのアンケート」より筆者作成 全体の半分以上が200~399万円の金額帯である一方で、600万円以上の人も5%以上いる結果となっています。また、奨学金の返済期間は平均13.5年という結果です。22歳で大学を卒業した場合、返済が30代後半に差し掛かるまで続くこととなります。
返済不要の「給付型奨学金」を受けている学生の割合は奨学生の約6割
奨学金のなかには、返済の必要がない「給付型奨学金」と呼ばれるタイプもあります。独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査」によると、何らかの給付型奨学金を受給している人の割合は、奨学金を受けている人全体の61.4%です。 また、独立行政法人 日本学生支援機構「令和 2年度 学生生活調査結果」によると、日本学生支援機構が実施する奨学金のうち給付型奨学金の受給者率は10.2%となっており、全体の1割程度にとどまっています。
給付型奨学金を受ける条件は厳しい?
給付型奨学金は返済の必要がないぶん、受給の条件が厳しく設定されているのではないかと考える人は多いでしょう。給付型奨学金はさまざまな学校や団体が実施しており、それぞれ支給の条件が異なります。 ここでは、最もメジャーな奨学金である独立行政法人 日本学生支援機構の給付型奨学金の支給条件を見てみましょう。日本学生支援機構の給付型奨学金を受給するには、家計の基準と学力の基準の2つの基準を満たしている必要があります。 ■家計の基準 給付型奨学金の支援区分は3つに分かれており、それぞれの家計基準は表2のように設定されています。 【表2】