AIが変える空の旅--英空港運営大手の5つの取り組み
4. 顧客サービスの強化 Woods氏は、自身のチームが収集する洞察を内部運営の改善だけに使用しているわけではない、と述べた。次の段階では、AIを活用した乗客体験の向上に力を入れる。 「その洞察を顧客に届ける方法について考えるようになった」とWoods氏。 「そこで現在、AWSと協力し、同社の大規模言語モデルと生成AIサービス『Amazon Bedrock』を使用して、フライトの変更に伴う顧客とのやりとりを改善しようとしている」 Woods氏は例として、飛行機の離陸を待つ乗客に送信する小売店の特典や、目的地の観光名所のクーポンを挙げた。 MAGはAWSとの提携で、同社の新しいコンピュータービジョンモデルの1つも使用している。 「これは基本的に自己訓練アルゴリズムだ。『航空機の到着時にスタンドで起きていることを監視できるか。清掃は始まっているか。手荷物の搬出は始まったか』に注目するようになる」とWoods氏は述べた。 「着陸から方向転換、再離陸までを25分で完了する会社もある。信じられないほど短い所要時間だ。乗客が飛行機から降り始めて、給油が完了したことが分かれば、予測能力を大幅に高めて、航空機の定時運航率を改善することができる」 5. プロセスへの注力を促進 新興テクノロジーを採用するメリットの1つは、チームとビジネス部門の連携のあり方を変える助けになることだ、とWoods氏は語る。 他の多くの組織と同様に、MAGのITプロジェクトもかつてはテクノロジー主導だったという。ビジネスの問題が見つかると、テクノロジーによる解決策を模索していた。 AIに焦点を当てたことで、プロセス主導でイノベーションに臨む新しいアプローチが生まれた。このアプローチが成功すれば、将来のさらなるイノベーションの正当化が容易になるだろう。 「まず、プロセスに関わる人々を見て、こう伝えた。『そのプロセスを理解して、可能な限り改善した。それから、このプロセスを支えて、さらに改善するために必要なテクノロジーを考え出した』」 Woods氏は、アプローチを変えるメリットを、同氏のチームがこの数年で証明してきた、と述べた。AIの長期的なメリットは他の部門との連携によって実現することを示した、と同氏は語る。 「テクノロジー主導の変化は、うまくいかないことが多い」とWoods氏。「ビジネス部門とどのように連携するかを考え、ビジネスが望むもの、必要とするもの、優先するものを理解したうえで連携を図り、メリットを生み出す効果的なソリューションを共同で作り出す必要がある。これは大きな変化だ」 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。