<Re:ゼロ>スバルの7分間に及ぶ熱い演説が視聴者の心を鷲掴み 「過去最高の神回」「心震えた」
TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season』(毎週水曜夜23:30ほか、TOKYO MX・AT-Xほか全国21局で放送/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)の第57話が11月13日に放送された。放送用のミーティアを通じて、不安や恐怖に怯える住民たちに言葉を届けることになったスバル(CV:小林裕介)。約7分間に及ぶ熱い演説が感動をもたらした。(※以下、ネタバレを含みます) 【写真】「男の子は、かっこつけやもんね!」スバルに拳を向けるアナスタシア ■「Re:ゼロから始める異世界生活」 「Re:ゼロから始める異世界生活」は、2012年4月からWeb小説投稿サイト「小説家になろう」で連載が始まり、2014年1月からMF文庫J(KADOKAWA)で刊行されている長月達平による小説を原作としたアニメ。突如異世界に召喚された主人公のナツキ・スバルが、死ぬと時間が巻き戻る“死に戻り”の力を駆使して、大切な人々を守るために過酷な運命に立ち向かっていくダークファンタジーだ。 これまでに、第1期(全25話)が2016年4月から9月、第2期の前半(全13話)が2020年7月から9月、後半(全12話)が2021年1月から3月にかけて放送されたほか、OVA2作品が劇場公開された。 2024年10月2日から始まった第3期は、「聖域」の解放から1年が過ぎ、平穏な日々を送るスバルたちのもとに王選候補者の一人アナスタシアから水門都市プリステラへの招待状が届くところから始まる。アニメーション制作はWHITE FOXが担当。監督を「トラペジウム」などの篠原正寛、シリーズ構成を「Free!」「はたらく魔王様!」などの横谷昌宏が務める。 ■エミリアの成長を感じさせるエピソード 第57話は、アル(CV:関智一)とエミリア(CV:高橋李依)が対話鏡を通じて言葉を交わすシーンから始まる。スバルたちと別れて、単独行動をとっていたアル。何をしていたのかは不明だが、彼の前には多くの魔女教徒の遺体が転がっていた。その中の一人が持っていた対話鏡を手に取ったところ、レグルス(CV:石田彰)に囚われていたエミリアと偶然にも繋がったのだ。 エミリアは手短に大罪司教たちの居場所やベアトリスを守ってほしいことなど、スバルへの伝言をアルに託す。真っ先に助けを求めることもできた。そうすれば、すぐにでもスバルはエミリアの元に駆けつけただろう。 しかし、エミリアはスバルが助けに来てくれると信じた上で「助けに来てくれたスバルが危なくないように、私がしておけること、全部しておきたいの」とアルに笑顔を見せる。驚くほどにエミリアが強くなれたのは、心から信頼できるスバルの存在あってこそ。 スバルもまた、エミリアからの伝言で心を奮い立たせ、大罪司教たちから都市を奪還するための具体的な作戦をアナスタシア(CV:植田佳奈)たちと詰める。まずは放送用ミーティアを通じてシリウス(CV:安済知佳)の『憤怒』の権能と、カペラ(CV:悠木碧)の放送で不安を募らせている住民たちに声を届けることに。 問題は誰が放送を担当するかということ。住民たちの希望を呼び起こすためには、それ相応の力がなければならない。知名度だけでいえば、プリステラに本拠を置く王選候補者のアナスタシアが適任だ。 だが、アナスタシアは不安に支配された人の心が一気に沸き立つほどの力は自分にはないと言う。では、誰が…と一同が考えを巡らせる中、「それって大将がやるんじゃァいけねェのか?」と提案したのが、ガーフィール(CV:岡本信彦)だ。 ■心震えるスバルの演説、「過去最高の神回」との感想も スバルには大罪司教を倒した実績がある。その脅威に住民が怯えている今、スバルが声をかけたら、これ以上心強いことはないだろう。アナスタシアやユリウス(CV:江口拓也)もガーフィールの提案に同意するが、スバルは決意しきれない。 そんな中、アルが「躊躇うんならやめちまえよ」とスバルに告げる。これからスバルが背負うことになるのは『英雄幻想』。スバルの敗北はスバル一人の敗北ではなく都市全体の敗北になる、もし背負うのであれば絶対に負けない覚悟を持たなければならないと語るアル。だが、そんなアルのおかげでスバルの覚悟が定まった。その頭には、異世界に召喚されてから現在までの記憶が背中を押すように流れていた。 TVアニメ1st seasonが放送されてから約8年。色んなことがあったなとエモーショナルな気分になるのと同時に、スバルに救われてきた人々の多さに驚く。元より特別な人間だったわけではなく、何度も絶望に呑み込まれてきたスバルが、その度に己を奮い立たせてきたのは“絶対に救いたい”という強い気持ちがあったから。 そんな姿を見て、多くの人たちはスバルのことを信じ、力を合わせてきた。エミリアも、ベアトリスも、王選における敵陣営の者たちも。ガーフィールに至っては、スバルの無事を確認しただけで涙ぐむほど彼のことを慕っている。 救いたい人間の数が増えただけで、やるべきことは今までと変わらない。覚悟を決めてマイクの前に立つ。そんなスバルの演説は約7分間に渡って描かれた。印象的だったのは”、“大罪司教を倒した”という肩書きを最初に告げなかったこと。まず、スバルは自分がいかに弱い人間かを語ったのだ。脈略がないスバルの弱音を、最初は不安そうに聞いていた住民たち。だが、「それでも、逃げられないから戦う」というスバルの一言で顔色が変化していく。 スバルも住民たちと一緒で、不安や恐怖を抱える1人。だからこそ、同じ目線でその気持ちに寄り添うことができる。その上で、エミリアが歌う挿入歌「I Trust You」をバックに、一緒にいる“誰か”と、負けそうになる心を支え合いながら一緒に戦ってほしいという熱い思いを飾らない言葉で住民たちに語りかけるスバル。そして、最後に「俺の名前はナツキ・スバル! 魔女教大罪司教『怠惰』を倒した精霊使いだ!」と名乗るところが最高にかっこいい。そんなスバルの演説を色んな場所から聞いている人たちの表情も印象的に映し出され、みるみる希望が湧き立っていくのを感じた。 これまでは身近な人たちを助けてきたスバルが、不特定多数の不安に怯える人たちのために“英雄”として立ち上がる一つの集大成となったこの回。放送後にはXで「スバルの演説」というワードがトレンド入りを果たし、視聴者からも「絶望の淵に居る街中のみんなに希望を持たせる素晴らしい演説だった」「これ聞いて泣かん人おらんやろ…」「個人的に過去最高の神回」「久々にアニメで心震えた」と熱のこもった感想が寄せられた。 ■文/苫とり子