20歳・堂安律に起きている環境変化「右サイドハーフを極める」
一生の思い出に残る代表初ゴールが、取り巻く状況をも劇的に変える。直近のオランダリーグで2試合連続ゴールを決め、意気揚々と森保ジャパンに合流したMF堂安律(FCフローニンゲン)からは、ついこの間まで抱いていた不完全燃焼の思いが完全に消え去っていた。 「日本代表の影響力はすごいと、あらためて感じさせられています。おかげでフローニンゲンに帰ったときに、自分がやらなければいけないことがはっきりした。その意味でも、日本代表に選ばれたことにすごく感謝しています」 ベネズエラ代表と大分スポーツ公園総合競技場で対峙する、16日のキリンチャレンジカップ2018へ向けて大分市内でキャンプを行っている森保ジャパンに、堂安は初日から1日遅れの13日に合流。ランニング中心の軽めのメニューを終えた後の取材エリアで、晴れやかな表情を浮かべた。 ターニングポイントとなったのはFIFAランキング5位(当時)の強豪で、今夏のワールドカップ・ロシア大会でもベスト8に進出した10月16日のウルグアイ代表戦。ゴールの奪い合いの末に新生日本代表が4―3で勝利した一戦を、フローニンゲンのエルネスト・ファベル監督もチェックしていた。 堂安はこの試合で右サイドハーフとして先発フル出場。後半14分にはDF酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)とのワンツーから抜けだし、利き足の左足でA代表3戦目にして初ゴールを叩き込んでいる。 攻撃面もさることながら、守備面でもハードワークを惜しまない20歳の躍動ぶりに感銘を受けたのか。オランダ人指揮官は、フローニンゲンに再合流した堂安と話し合いの場をもっている。 「どちらがやりやすいのか、というコミュニケーションを取りながら、すごくいい話ができました。監督からは『冬の休みまでは右サイドで固定する』と言われました。代表でもやらせてもらっているポジションですし、ハードワークする部分であるとか、得点以外の部分でも自分の課題を突き詰めていけるポジションなので、頭のなかがすごくクリアになってプレーできるようになりました」 フローニンゲンの1年目だった昨シーズンに9ゴール4アシストをマーク。ガンバ大阪からの期限付き移籍を完全移籍に切り替え、背番号も「25」から「7」に変わった堂安を、ファベル監督は右サイドハーフからトップ下へ配置転換。そのうえで守備を免除した。 「前線でボールを収めることと、フィニッシュのところでパワーを使うことを、試合前から口酸っぱく言われています。守備をして怒られることもあるんですよ」 10月シリーズで帰国した堂安は、こう語りながら思わず苦笑している。172cm、70kgの筋骨隆々とした体に搭載された稀有な攻撃力に、クラブから全幅の信頼を与えられた証。加入2年目での大役拝命を意気に感じながら一抹の違和感を覚えていたと、このときに打ち明けている。