第93回選抜高校野球 中京大中京、投打に圧倒 24年ぶりベスト4進出 /愛知
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)第9日の29日、中京大中京は準々決勝で東海大菅生(東京)と対戦。6―0で快勝し、1997年以来24年ぶりとなるベスト4進出を決めた。序盤からリードすると、そのまま勢いに乗り圧巻の強さを見せつけた。今回から、2回戦まで新型コロナウイルス感染拡大防止のため来場を控えていた在校生ら約300人がアルプス席で応援。ベスト4進出に「優勝まであともう少し」と、スタンドは歓喜の渦に包まれた。中京大中京は決勝進出を懸けて大会第10日(31日)準決勝で明豊(大分)と対戦する。【酒井志帆、隈元悠太】 快進撃を続ける中京大中京。勢いはこの日も止まることはなく、時折仲間たちと笑顔を交わす選手らの表情は明るい。初回、相手の悪送球をついて早々に2点を先制。さらに櫛田理貴(3年)の適時打で1点を追加し、リードを広げた。櫛田は初戦から3試合連続で得点に絡み、母舞さん(47)は「すごくうれしいです」と笑顔。 二回には、細江泰斗(3年)が甲子園初安打となる三塁打を放ち、続く杉浦泰文(3年)の遊ゴロの間に生還した。2回戦終了後、細江の父一樹さん(38)の元には、無安打に焦る気持ちを打ち明ける電話があったといい、一樹さんは目を潤ませ、「今日のバッティングは息子らしいものだった」と思いやった。 さらに五回にも、加藤優翔(3年)の適時打で2点を追加。試合の流れをほぼ手中にした。スタンドでは、自身が録音した応援曲と共に、吹奏楽部部長の加藤あずみさん(3年)が応援。「楽器こそ抱くことはできないが、心で演奏しています」と話し「(選手らが)ヒットをたくさん打ってすごくかっこいい」と感激した様子だった。 3試合連続の先発となったエースの畔柳亨丞(3年)は、希望していた東海大菅生のエース・本田峻也との投げ合いがかなった。ともに中学時代、U15(15歳以下)日本代表に選ばれたかつての仲間だ。 今回もチームメートの積極的な打線に支えられ、被安打2に抑え完封した。母雅代さんは「行けるところまで行ってほしい」と祈るような表情だった。 ◇色鮮やかに応援 ○…スクールカラーの赤、白、青色の色鮮やかなポンポンが揺れる中京大中京の応援席。ポンポンを手にしたチアリーディング部(42人)が息の合った振り付けでエールを送った=写真。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、同校では2回戦までは甲子園での応援を野球部員とその家族に限定。しかし、準々決勝からはチアリーディング部らの来場が認められ、部員らは待ちに待った舞台で、元気いっぱいにポンポンを振った。 コロナ下で練習が制限されるなか、ウェブ会議システム「Zoom」などを利用して、リモートで動きを合わせてきた。部長の加賀愛理さん(3年)は「一刻も早く直接応援したかった。球場でできる応援をかみ締めています」と笑顔をはじけさせた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇綿密なデータ分析、礎に 加藤優翔捕手(3年) 最速151キロのエース、畔柳亨丞とバッテリーを組む。その今大会屈指の好投手をして「加藤の指示通りに投げて1人ずつ打ち取る」と言わしめる。この日もマウンドから戻る畔柳は加藤と笑顔を交わし、信頼は厚い。その礎となっているのが、対戦相手の綿密なデータ分析だ。 組み合わせで同じゾーンに入る出場校の昨秋の公式戦動画を見て、打者の特徴を1人ずつ紙に書き、攻め方を決めた。この日も初回から「直球を待たれている」と気づき、分析通りに進めた。「この3試合全てデータ通りにやった」 趣味は「人間観察」。毎日通学の電車内で「次にどんな行動をするのか」人の動きを偵察し、野球にも生かすのだという。 今大会、打撃も快調だ。宿舎では起床時間の1時間前からスイング練習。この日も五回に適時打で追加点を奪った。畔柳の好投を支え、共に優勝まで1戦ずつ勝ち上がる。【酒井志帆】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽準々決勝 中京大中京 310020000=6 000000000=0 東海大菅生