【公演レポート】「Come Blow Your Horn」開幕、SixTONES髙地優吾が“プレイボーイ”への変貌に手応え
髙地優吾(SixTONES)が初めて単独主演を務める舞台「Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~」が、昨日10月3日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕。開幕に先駆け昨日、ゲネプロと初日前会見が行われた。なお記事には舞台写真を掲載しているため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。 【画像】「Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~」ゲネプロの様子。(他14件) 「Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~」は、ニール・サイモンが3年半の歳月をかけて完成させたブロードウェイデビュー作「Come Blow Your Horn」を原作としたコメディ。今回の上演版では翻訳を常田景子、演出を宮田慶子が手がける。 バディ・ベーカー(髙地)は両親との生活にうんざりし、誕生日を機に実家を出て、兄のアラン(忍成修吾)が暮らすアパートに転がり込む。アランはバディと共に父(羽場裕一)の会社で働いているが、現在は本命の彼女コニー(岡本玲)がいながら複数の女性と付き合い、仕事もそっちのけで気ままな独身生活を満喫していた。バディの「独立する」という決心にアランは喜び、ガールフレンドのいないバディに映画女優志望のペギー(松井愛莉)を紹介する。バディが部屋でペギーを待っていると、訪ねてきたのは母(高岡早紀)で……。 幕が開くと、舞台はミッドセンチュリー調のインテリアが印象的なアパートの一室になっていた。華やかな柄の壁紙が貼られた下手側にはバーカウンターや暖炉があり、上手側の大きな窓の向こうには都会の夜景が広がる。ステージ中央の後方には白い両開きの玄関扉があり、バディとアランはその扉から次々にやってくる来訪者たちに翻弄されながら、軽快な会話劇を展開した。 物語前半のバディは、野暮ったいチャコールグレーのスーツを着た内気な青年。しかし兄のアパートに来て3週間が経つと、バディは兄に触発され、濃いピンクのジャケットに派手なブルーのネクタイや靴下を着用した“プレイボーイ”となり、陽気なお調子者として振る舞うようになる。髙地は身を縮こまらせ、足をちょこんとそろえて座る仕草で、周囲に振り回されがちな頼りないバディを演じる。しかしバディがプレイボーイとなってからは一転して、髙地は軽やかな身のこなしと明るい笑顔で役の変化を表現した。 アランはその場しのぎで調子の良いことを言いながら、複数の女性と遊び続けている人物。忍成はアランが本命の彼女コニーに結婚を迫られたり、自分のうそがバレたりして焦る様子を滑稽に演じた。父役の羽場は、横暴な言動の中にも時折不器用な優しさをのぞかせ、高岡は、どうしても伝言内容が覚えられず電話口で困り果てる母の姿を、眉を八の字にしてキュートに表現。またコニー役の岡本による振り切れた演技や、ペギー役の松井がほかのキャストと繰り広げる息ぴったりのやりとりにもぜひ注目しよう。 ゲネプロ後に行われた会見には、髙地、忍成、岡本、松井、高岡、羽場が登壇。初の舞台単独主演となる髙地は「お話をいただいたときは『僕で大丈夫かな』と不安でしたが、台本を読んで『内容が面白いからきっと大丈夫』と思えました。ストーリーに支えられながらがんばりたい」と意気込みを述べる。バディの性格が前半と後半でガラリと変わることについて髙地は「台本を読んだときは『内気なバディのほうが演じやすそう』と思いましたが、実際にやってみたらお調子者になったバディのほうがやりやすくて(笑)。新しい自分に出会えた気がします」と瞳を輝かせた。また髙地は「共演者の皆さんがとても大人なので、稽古場が静かだった。同じ6人組でも、(自身が所属する)SixTONESとは大違い」と笑いを誘いつつ、「僕は稽古を重ねてからステージに立つことが好き。今後も毎年舞台をやれたらうれしいですね」と語った。 羽場は「すぐに怒る役だからか、自宅でセリフの練習をしていると家の中の雰囲気が暗くなる(笑)。妻に『最近、言い方がきつい』と言われてしまって……」とエピソードを明かしつつ、「兄弟の成長物語なので、父役としてしっかり“壁”になりたい」と言葉に力を込める。また高岡は「2人(髙地、忍成)が悩んでいる姿をずっと見てきました(笑)。兄弟の成長ストーリーを通じて、演者である2人の成長も見守りながら、私自身も皆さんに楽しんでいただける舞台作りを目指します」と笑顔を浮かべた。 アランの役作りに悩んできたという忍成は「アランはユーモアがあるけど、僕は妻に『あなたの冗談は笑えないから、冗談とは言えない』と言われるくらい不器用」と苦笑いをしながら、「心臓に毛が生えてきてほしいくらい緊張する。でも、観ていただくのが楽しみです!」と観客にメッセージを送った。 岡本は、本作の舞台が、女性の社会進出が進み始めた1960年代であることに触れつつ「あえて“女性らしく”、ぶりっ子っぽい演技をするのが大変で(笑)。演出の宮田さんからの『もっとかわいく!』というオーダーに応えるのが難しかったです」とコメントし、上演に向けては「お客様が考え込まずに楽しめるコメディなので、私も楽しみながら演じたい」と抱負を述べる。初舞台の松井は「皆さんがたくさん話しかけてくださって、心が救われた」と稽古を振り返り、演じるペギーについて「私自身は自己アピールが苦手。でも自分のかわいさを押し売りできるペギーくらい、自信を持ってがんばりたい」と話した。 最後に高地が「皆さんと仲良く楽しく作り上げた舞台です。とても面白い作品なので、フラッと劇場に来てもらえたら」と観客にメッセージを送り、取材は終了した。 上演時間は休憩20分を含む約2時間30分。東京公演は10月20日まで行われ、その後、25日から28日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演される。 ■ Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~ 2024年10月3日(木)~2024年10月20日(日) 東京都 新国立劇場 中劇場 2024年10月25日(金)~2024年10月28日(月) 大阪府 森ノ宮ピロティホール □ スタッフ 原作:ニール・サイモン 翻訳:常田景子 演出:宮田慶子 □ 出演 髙地優吾(SixTONES) / 忍成修吾 / 岡本玲 / 松井愛莉 / 高岡早紀 / 羽場裕一