ポルシェがめざす「電動化された魂」とは? 日本法人CEOが語る未来
自動車の電動化というと従来のエンジン搭載車と異なり、自動車としての個性が薄まるように感じてしまう。スポーツカーメーカーとして名高いポルシェも電動化に積極的だが、果たしてポルシェらしさは残るのだろうか。 【写真はこちら】タイカン、マカン、フォーミュラE…ポルシェをもっと見る! ポルシェAGは2030年に新車販売における電気自動車(EV)のシェアを80%以上にするという意欲的な目標を打ち出している。日本では2020年にブランド初となるタイカンを発売。そして今年は大幅なアップデイトを施した新型タイカンと、第2弾EVとなる新型マカンを国内へ導入予定だ。ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフCEOは、次のように述べる。 「EVについての対応は、欧州や米国、日本などマーケットごとに異なります。そして我々が定義する電動化には、EVだけでなくプラグインハイブリッド(PHEV)も含まれています。それは日本市場においては重要な役割を果たしており、現在もパナメーラとカイエンにPHEVを用意しています。今後、数年間にわたって新型EVを導入予定ですが、それらも含めて日本市場においても2030年までに80%以上を電動化することを目標としています」
日本の新車販売におけるEVの比率はまだまだ低い。今後をどうみるのか。 「昨年の日本国内のEVのシェアは約2%、欧州は約14%です。一方、ポルシェ全体におけるEVの販売率は約12%でした。日本の平均値に比べるとはるかに高い数値です。日本市場における明確な目標は開示できませんが、しかし、その12%は最低ラインだと考えています」 EVの普及にとって最重要課題のひとつが充電インフラの拡充だ。 「いまポルシェ、アウディ、フォルクスワーゲンの3ブランドの急速充電器ネットワークを統合した充電サービスであるプレミアムチャージングアライアンス(PCA)を展開しています。これに加え全国100か所以上にポルシェデスティネーションチャージングステーションを設置しており、今後さらに拡大予定です」 ポルシェブランドの純粋想起といえば911でありEVの認知はまだ高くない。 「3月に開催された東京マラソン2024の先導車両や審判長車両としてタイカン20台が、コース上を走行しました。排気ガスもエンジン音もないポルシェを多くの人にご覧いただけたと思います。また3月末には東京で初めてフォーミュラEが開催されます。この機会に、ぜひポルシェのEVの魅力を知っていただければと思います」 最後にEVでもポルシェは不変と語る。 「内燃機関でも、ハイブリッドでも、すべては真のポルシェでなければならない。そしてEVでも“Soul, electrified.(電動化された魂。)”を体現しているのです」 文:藤野太一 写真:茂呂幸正 [THE NIKKEI MAGAZINE 2024年3月17日号の記事を再構成]