「警視庁捜査2課のヤマダです」 警察官かたる詐欺、実際の音声 沖縄県内で被害拡大
県内で警察官を装ったおれおれ詐欺の被害が止まらない。県警組織犯罪対策課によると、昨年なかった「警察官かたり」の認知件数は今年24件(28日までの暫定値)。被害総額は約9100万円に上る。今月も県内に住む20代男性と40代女性が計150万円をだまし取られた。本紙は県内に住む60代男性の携帯電話にかかってきた「警察官かたり」の音声を入手した。 【音声あり】「警視庁捜査2課のヤマダです」警察官をかたる詐欺師の肉声 「○○さん(男性の本名)のお電話で間違いないでしょうか」 10月末の朝、男性の携帯電話に「+1」で始まる国際電話の番号(アメリカやカナダ)から着信があった。相手は警視庁捜査2課の「ヤマダ」を名乗る男。情報の漏えいを防ぐためだとして、男性の周りに人がいないかを確認し、唐突にしゃべりだした。 「捜査報告書によると、大阪府警でヤマダコウスケをはじめとする資金洗浄事件があった」 容疑者の自宅を家宅捜索したところ、男性名義の銀行のキャッシュカードが見つかったと説明され「心当たりがないか」「財布やかばんを盗まれたことはないか」などと迫られた。男性が全ての質問に「ない」とはっきり答えると、一方的に電話を切られた。 男は男性に対し、財布をなくしたり、免許証やマイナンバーカードを使って何か申請したりしなかったかなどと、不安をあおるような質問を次々に投げかけたが、男性が全て否定したため、諦めたとみられる。 電話の後ろからは「もしもしー、△△さんのお電話ですか?」と別の人物の声が漏れていた。同じ空間で複数人が電話をかけていたとみられる。 県警によると、警察官を名乗る人物から事件に関わっているとして「保釈金を振り込めばすぐに逮捕されることはない」などと言い、指定の口座に入金させる手口が急増している。 LINEなど無料通信アプリのビデオ電話で偽の逮捕状や警察手帳を見せられ、焦って支払ってしまう人が多いという。 県警は「警察官が口座へ振り込みを要求することは絶対にない。不審な電話があれば一度切り、家族や警察に相談して」と注意を呼びかけている。(社会部・玉那覇長輝)