日本株の上昇、24年秋に再加速か 注目すべきデータは…◇第一生命経済研究所首席エコノミスト 熊野英生
米国株にぴたり連動
今年に入って急激に株価が上昇し、3月上旬には日経平均株価が4万円台を付けた。この上昇が一過性のものなのか、それとも継続的な流れなのかを考えてみた。 【ひと目で分かる】日経平均株価の動き(1988年~2024年6月14日) 日本株の変化は、ほとんど米国株に連動したものであることは、投資家の間ではよく知られている事実だ。特に、米国の新興企業の株価であるナスダック総合指数は、ほとんどぴったりと日経平均株価と連動している。つまり、米国株に投資して運用資産額が増加した世界の投資家が同時に日本株に分散投資をしてくるから、両者はほぼ一致して動くことになる。 投資家の運用資産額は、もちろん米国株が巨大な割合を占めていて、規模の小さい日本株は海外から流入してくる資金量に大きく揺さぶられてしまう。米国株が何に動かされているのかを調べれば、日本株の今後の動向も見えてくると考えることができる。
世界中が情熱燃やし調べるのは…
ナスダック指数を動かす経済データはいくつかある。米国の株価だから、やはり米経済の変動には敏感なのだろう。さまざまなデータ分析をしている人の間で共通して言われるのは、米国の株価と経済データは本当によく連動しているということだ。一方、日本の株価は、日本の経済データと必ずしも連動せずバラバラの動きをする。だから、日本のデータを情熱を燃やして調べようという人は少ない。 それに対して、投資のパフォーマンスと直結してくる米国のデータは、世界中の投資家たちが全エネルギーを投じて調べている。たとえ英語で書かれていて、手間がかかるとしても、私たち日本人も米国のデータを細かく調べることになる。 ナスダック指数とよく連動している経済データとして筆者が注目するのは、毎月の半導体売り上げデータ「世界半導体市場統計(WSTS)」だ。このデータは2023年秋ごろから上向き始めて、それに連れてナスダック指数の前年比も、24年1~4月に高い伸びを記録している。これは、半導体ブームが1年半から2年の周期で再び到来していることを反映している。