定年退職して「自営業」になりました。当面収入は大きく減りますが、「健康保険」は何に加入するのがお得でしょうか?
任意継続加入が有利といえなくなってきた
2022年の保険制度見直しには、もうひとつ大きな変更がありました。任意継続の保険料を算出する際に、規約に定めれば、退職時の標準報酬月額を設定しても良いことになりました。ただし、これは健康保険組合のみ適用され、全国健康保険協会(協会けんぽ)には適用されません(※4)。 まだ多くの健康保険組合は規約を据え置いているようですが、退職1年目の保険料は任意継続のほうが安い、とは必ずしもいえなくなっていたのです。 自分の勤務先はどうなのか、近くリタイアを予定する方は必ず規約を確認のうえ、健康保険制度を選択していただきたいと思います。 なお、所得等の要件を満たして家族の扶養に入る場合は、最も経済的にメリットのある加入方法といえます。ただ、すぐに扶養を外れそうな収入が期待できるのであれば、国民健康保険の保険料を事前に試算しておくのがよいでしょう。
最後に
ここまで保険料負担について見てきましたが、国民健康保険には、倒産や解雇による失業の場合などに保険料を減免・猶予する制度があります。事情によっては退職1年目から国民健康保険のほうが保険料負担の小さい場合もあるので、当てはまる場合は申請をご検討ください。 なお、健康保険組合によっては法定以上の付加給付や保養所・健康診断などの独自サービスをもつところもあり、任意継続あるいは被扶養者になることで享受できる幅広いメリットがあります。 保険料以外のメリット・デメリットもよく比較の上、自分に適した健康保険制度への加入と切り替えを計画してください。 出典 (※1)全国健康保険協会ホームページ (※2)厚生労働省 国民健康保険制度 (※3)厚生労働省 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について (※4)e-Gov健康保険法 第四十七条 執筆者:伊藤秀雄 FP事務所ライフブリュー代表 CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
ファイナンシャルフィールド編集部