マクラーレンCEO、ザク・ブラウンが考えるチーム運営”成功”へのメソッド「我々の首脳陣はお互い気軽に批判し合える関係」
マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンは、「建設的に批判する」マネジメント陣を組織したことが、F1コンストラクターズチャンピオンを獲得する礎となったと語った。 【ギャラリー】アイルトン・セナとマクラーレン 1988-1993 ランド・ノリスとオスカー・ピアストリを擁して2024年シーズンのF1を戦ったマクラーレンは、コンストラクターズタイトルを獲得。同タイトルを獲得するのは、ミカ・ハッキネンとデビッド・クルサードが在籍していた1998年以来、実に26年ぶりである。 ブラウンCEOは2016年にマクラーレンに加入。このタイトル獲得は、商業面とコース上でのパフォーマンス向上を目指して整理するために彼が行なってきた業務の集大成とも言える。 motorsport.comの独占インタビューに応じたブラウンCEOは、自身が作り上げてきたリーダーシップのスタイルが、チームの才能を伸ばす上で重要だったと語った。 「私が得意だと思っていることは、最高の人材をそれぞれに見合った役割に就かせることだ。彼らを厳しく追い込み、絶えずフィードバックを与えながらも、仕事を任せるのだ」 そうブラウンCEOは語った。 「彼らから最高のモノを引き出し、組織のペースを上げるんだ」 「建設的に自分たちのことを批判することには情熱がある、我々の首脳陣は約10人で、素晴らしい人物たちだし、お互いに競い合っている」 「我々はお互いに誠実に向き合っている。しかし、意見が合わないことだってある。多くの人が私に反論してくれる。それが分かっているから、とても建設的なんだ」 ブラウンCEOは、全員が包み隠さず、間違っていることに気付いたら声を上げられるようにすることが、マクラーレンが戦闘力を上げる上で重要だったと考えている。 「我々の首脳陣は、『ザク、君はここで間違っていると思う』と気軽に言うことができる」 そうブラウンCEOは説明する。 「私はそれに反論できるし、彼らもまた反論する。非常に建設的な形なんだ」 ブラウンCEOはまた、周囲の人々が目標を達成できるように、できる限りサポートしてきたことも重要だと考えている。 「私はチームをサポートするためにここにいる……というのが、私の考え方だ」 「私はチームのために働いている。そしてチームの皆は、私のために働いているわけではない」 「私の考えでは、私はサポート役なんだ。マネージャーであり、クオーターバックではない。アンドレア(ステラ/チーム代表)がクオーターバックで、首脳陣の全員がクオーターバックだ。私はマネージャーであり、どんなプレイをするのか判断を手伝ったり、手助けしたりするだけだ。私がボールを投げるわけではない」 ■細かいところに口出ししない ブラウンCEOは、自分のリーダーシップのスタイルのもうひとつの側面について、自分の長所と短所を認識することだと考えている。 F1チームを運営するのは、年々複雑怪奇になっている。そのためブラウンCEOは、何か特定の領域に干渉するようなことはしないという。 「ピットウォールにいる時も同じだが、私は関与しない」 ブラウンCEOはそう語る。 「アンドレアと私は話し合い、質問し、そして考えを共有する。私は生涯ずっとレーサーだが、ピットウォールで戦略を指示するのには、最も向いていない人物だ」 「他のチームのボスの中には、すべきではないことをしているように見せたいと思っている人がいるように、私には見える」 「トム・スタラード(ピアストリのレースエンジニア)が私に言ってくれた最高の言葉のひとつは、『ピットウォールにいるあなたのどこが気に入っているか、知っていますか? それは、あなたが何も言わないところなんですよ!』というモノだった」 「カメラの前で、私がレースの戦略を仕切ったように見せるのは簡単だろう。しかしそれは、自分のレーシングチームにとって良いイメージではない」 「私はトムやウィル(ノリスのレースエンジニアであるウィル・ジョセフ)に、レースの進め方を指図するつもりはない。私にそんな資格はないんだ」
Jonathan Noble