高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!
「大型右サイドハンド」。今年、高卒6年目にして自身初のノーヒットノーランを達成した巨人・戸郷 翔征投手(聖心ウルスラ)や、リリーバーとして巨人3年目を迎える大勢(西脇工~関西国際大)がNPBにおける代表格であるが、高校球界では希少価値の存在。しかしこの春、そんな大型右サイドハンドが南国土佐・高知県に突如出現した。 【一覧】四国地区 各県予選の抽選日・開幕の予定 彼の名は東京都文京区出身の酒井 晶央投手(3年=さかい・あきお)。区立指ケ谷小4年時に大塚ミスギホープで軟式野球をはじめ中学からは「野球と勉強ができる学校を求めて」土佐での寮生活を選択。昨夏は一塁手兼任ながら身長186センチの大型オーバーハンドとして最速138キロを計測した。 最上級生での活躍が期待されていたが、先発した秋季県大会の準々決勝・岡豊戦で大敗。制球が定まらず4回無死で4点を失い降板する悔しい結果となった。 残された甲子園へのチャンスは1回のみ。冬の間に「朝食をしっかり食べることを心掛けて」85キロから95キロまで体重を増加させるなど、試行錯誤を重ねていた彼は2024年春を前に大きな決断を下す。その決断とは……サイドスローへの転向である。 「土佐中で捕手を経験していたことからスナップスローはもともとできていたし、腰の回転方向も横回転だった」ことを活かし、大勢投手のフォームを参考にしてスリークォーターのイメージで取り組んだ。新フォームはすぐにフィットし、春になると球速は144キロ、常時130キロ後半まで上昇し、変化球もシンカーに近いフォークも手に入れた。 その効果は徐々に表れている。サイド転向直後の春季高知県大会では初戦で高知商と対戦すると151球を投げて6回2/3、4失点(自責点2)9四死球と制球に課題を残したが、5月の県総体では再び高知商と対戦し延長10回タイブレークを完投。試合は敗れたが、雨天のぬかるんだマウンド状況、かつ150球を超えてもストレートの球速は140キロ前後を常にマークし続けた。「配球も重要になってくる」と本人も明確にテーマを見出している最後の夏には、さらなるブレイクが期待できるだろう。 文武両道を地で行く土佐だけあって次の進路は「大学進学」と明言する酒井。ただ、その上には「プロに行くのであれば」と注釈が付く。自らの決断で大型サイドハンドの道を選んだ土佐の絶対的エースは、「一戦必勝でいきたい」と1989年以来35年ぶりとなる夏の甲子園出場を果たし、全国に「さかい・あきお」の名を轟かす覚悟だ。