雑草対策でコイ放流 除草剤使わず米作り 三重・多気の相可高農業クラブ
試行錯誤で4年目 田20アールに稚魚1万匹
三重県多気郡多気町相可の県立相可高校生産経済科の農業クラブに在籍する2年・川添莉央さん、中井彩葉さん、太田凪咲さん、中西奏音さんは20日午後3時半ごろから、同所の同校総合農場の田んぼに、除草を担ってもらうコイの稚魚を放流した。除草剤を使わずに、捨てられるものを再利用した「環境にやさしい米作り」の一環で4年目になる。 同クラブは2021(令和3)年に「コイするお米PROJECT」を立ち上げ、通常なら廃棄されるものを再利用して肥料にするなど環境に配慮した米作りに取り組んでいる。特にコイは、1回の産卵で多い場合は70万個を産むがそのほとんどは破棄されるという。これを知ってコイを米作りに生かそうと名称にも取り入れた。 昨年は、農林水産省が推進する環境負荷低減の取り組み「見える化」実証プロジェクトに参加して、温室効果ガス削減率88%を達成し星三つの最高評価を得ている。 コイは土の中にいる虫を食べ、その際に草を根から掘り起こす。1年目は稚魚2千匹ほどを放流して雑草も生えず成功した。2年目は5~10センチに育った約200匹を放流したが、除草されず草だらけに。昨年は田んぼに深さのある場所を作ったため、コイが鳥から身を隠すためにその場所に集中。草が生えたところと生えていないところができてしまったという。苗は初年度から変わらず、コイが泳ぎ回ることを踏まえて背が高くならず倒れにくい品種「どんとこい」を植えている。 この日は4人で20アールの水田に5ミリほどの約1万匹を放流した。稚魚は松阪市内の養鯉(ようり)所から、卵の状態で廃棄されるものをふ化するまで育ててもらい譲り受けた。 生徒たちはビニール袋の中から水田に稚魚を流し入れ「泳いでる」「おった、おった」と小さな姿を見付けて手ですくい写真を撮るなどしていた。 中井さんは「みんな死なずに田んぼ全体を泳いで、雑草の成長をコイの力で止めてほしい」、太田さんは「いっぱい餌を探して雑草が生えないようになり、コイも米も大きく育てばいいな」とそれぞれ話した。