鉄人28号にゴジラ、埋め尽くす昭和の逸品 京都・祇園の「人が入れない」古道具店が復活
鉄人28号やゲゲゲの鬼太郎など、2階の壁面を埋め尽くす漫画の人形やレトロな看板―。京都市東山区にある昭和の雰囲気を漂わせる建物に、道行く人がカメラを向けている。ここ数年は戸が閉じられていたが、最近になって店主の姿を見かけるように。復活したのか尋ねてみた。 【写真】2階の壁面にもずらり 店は「京都祇園 鈴木古道具店」。店主の鈴木幹哉さん(71)が戦前に父が創業した店を2004年に継いだ。鉄腕アトムやゴジラといった昭和期の漫画やアニメの玩具をはじめ、当時の漫画雑誌やレコードなども豊富にそろい、店内は人が入れないほどだ。 修学旅行生や外国人観光客が顔をのぞかせ、テレビのロケや映画俳優が訪れたこともあるという。ただ、最近では鈴木さんの姿を見かける機会が少なくなっていた。 5年ほど前、鈴木さんは心筋梗塞や不整脈を患い入院を余儀なくされた。間もなく新型コロナウイルスが流行し、休業が続いた。ただ、再開を望む声や手紙が多く届き、2024年の夏に店を再開した。 だが、10月にまた心筋梗塞になった。脈拍が200を超える危険な時期もあったが、海外から計6人もお見舞いにやってきたという。「わざわざ来てくれるなんて、うれしいじゃないか」と照れくさそうに振り返る。 退院後、11月からは体調の良い日に午後2時から5時まで開を店くようにした。鈴木さんの回復を祝してか、最近も台湾から土産物が届けられといい、顔をほころばせる。 令和に残る昭和レトロな店を「昔の文化を知ってもらいつつ、さまざまな人が集うサロンのような場所」と語る鈴木さん。今日も笑顔で店前に立つ。