妊娠中の睡眠の質が低いと生まれる子どものADHDリスク増加 コロンビア大報告
アメリカのコロンビア大学らの研究グループは、妊娠中の母親の睡眠状態と約4歳時点の子どものADHD(注意欠如・多動症)の症状や睡眠障害の関係を検討したところ、「妊娠第2期の睡眠の質や時間が不良だと、生まれた子どもの神経発達や睡眠障害のリスク増加に関連がみられた」と報告しました。この内容について馬場医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
*研究グループが明らかにした内容とは? 編集部: 今回、アメリカのコロンビア大学らの研究グループが明らかにした内容について教えてください。 馬場先生: 今回紹介するのは、アメリカのコロンビア大学らの研究グループによる調査で、妊娠中の母親の睡眠状態と約4歳時点の子どものADHDの症状や睡眠障害の関係を検討したものです。 研究成果は「The Lancet Regional Health Americas」に掲載されています。研究の対象となったのは794組の親子で、登録時点の母親の平均年齢は32.30歳、子どもの46%が女の子でした。 睡眠調査に回答した妊婦は、妊娠第1期が394人、第2期が564人、第3期は117人でした。睡眠の質について、「非常に良好」と回答した妊婦の割合は初期が最も高く、妊娠週数が進むにつれて減少していきました。 また、睡眠時間も妊娠週数が進むほど短くなっていました。その一方、睡眠障害を経験していた妊婦の割合は、妊娠週数が進むほど増加する結果となりました。 妊娠第2期の睡眠時間と子どものADHDの症状との関係は有意で、短時間睡眠の子どものADHD症状レベルが高いことと関係していました。 また、妊娠第2期の睡眠の質が低いこともADHD症状レベルの上昇と関係していました。さらに、妊娠第1期の睡眠障害の程度は、子どものADHD症状レベルの上昇と関係し、妊娠第2期の睡眠障害は、子どもの睡眠障害と有意な関係を示したこともわかりました。