愛知・名古屋の子育て支援事情を「758キッズステーション」から探る
衆院選が終わり、継続して政権を握ることになった自民党は非常に多くの公約を掲げていた。その一部には「全ての子育て家庭を支援する、子ども・子育て支援新制度を2015年4月に施行」、「待機児童解消加速プランを展開し、2017年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保。待機児童の解消を目指す」といった子育てに関する公約も。そんな中、一地方自治体である名古屋市の子育て事情はどうか。子育て支援の中核施設として2007年に開設された「758キッズステーション」を通して探った。
親子で参加できる多彩な公開講座が人気
親子で楽しめる総合的な子育て施設、子ども・子育て支援センター「758キッズステーション」(名古屋市中区)。子どもが木製のおもちゃなどで遊べる「キッズパーク」と子育てに関する講座やイベントを開催する「マルチルーム」をメインに、市や区の子育て情報を発信する「情報ガーデン」、子育ての参考になる本や絵本がそろう「キッズらいぶらりぃ」、託児ルーム、授乳コーナー、子ども用トイレなど親子にとって嬉しい環境が充実している。名古屋市民以外でも利用できることも特徴の一つだ。 「マルチルーム」での講座は、親子参加の体操やマッサージ、専門家を招くセミナー形式、ママ同士の情報交換会、パパ向け講座など多種多様。申込者が多く、抽選となる場合も多いとか。ホームページでは講座内容やイベント情報も掲載されており、所長の酒井さんも「講座は無料のものが多いですし、2015年3月までの講座でまだ空きがあるものもあります」と話す。12月27日には情報が更新される予定だそう。
大きな規模で子育て家庭をサポート
2010年の国税調査では、名古屋市の総世帯数のうち子どもと同居する核家族は約34%。子どもの年齢にばらつきはあるものの、約3割の世帯が子育てに携わっている。 また、名古屋市は2014年5月に“待機児童ゼロ”を発表したが、これは国が定める基準を満たした数字で、家庭保育室や認可外保育施設、一時保育などを利用する児童は待機児童に含まれない。つまり、希望する保育施設に入れていない児童もまだ存在する。現状としては、すべての子育て家庭が満足し、安心した保育や子育て支援を受けるスタートラインに立ったところだと言えるだろう。 「758キッズステーションとしては、子育て家庭が孤立しないように市民・企業・行政の社会全体で子育て家庭を支える、支援の“輪”を広げていきたいと考えています」と酒井さん。施設には“子育てコンシェルジュ”と称し、保育士や助産師、社会福祉士など経験豊富な子育てのプロが常駐。子育てに関する相談をすることができ、コンシェルジュ曰く「子育ては誰でもみんな大変です。ご自分だけではありません。親であっても、愚痴を言っていいんです。誰かに話すだけでもずいぶん楽になりますよ。少しでも肩の力が抜けるように、あなたの子育ての話をお聞かせください」と、頼もしい。各種子育て制度や地域の情報などを伝えながら、無理をしない子育てを一緒に考えてくれるとして評判だ。 また、「のびのび子育てサポート事業」として、子育てのサポートをしてほしい人に子育てのサポートをしたい人を紹介し、一時的な子育て援助を推進している。 依頼内容は一時的な預かりや保育園の送迎などさまざま。利用には会員登録(資格条件あり)が必要で、申し込みの受付は主に市内にある8支部で行い、2015年3月までは758キッズステーションでも行う。 すべての子育て家庭が、平等な保育や支援を受けることは難しいかもしれない。しかし、多数存在する名古屋市の子育て家庭に対して、「758キッズステーション」の講座や子育てコンシェルジュ、のびのび子育てサポートをはじめとした事業は、大きな支えの一つになっていると言えるのではないだろうか。 地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=35.16548675&lon=136.90516777&z=18