“紅茶に塩とレモン”に英専門家「ナンセンス」と批判…提唱する“正しい紅茶の飲み方”とは?
■英専門家はレシピを「ナンセンス」と批判
ロンドンでは、イギリス人から「アメリカ人はイギリス人のように、正しい紅茶のいれ方を学ぶべきだと思う」という意見も上がりました。イギリスの紅茶の専門家は、今回の論争をどう見ているのでしょうか。「イギリス紅茶アカデミー」のディレクターを務めるペティグリュー氏を訪ね、アメリカの研究者が提唱するレシピを再現してもらいました。 ペティグリュー氏「塩の味で、お茶が完全に変わってしまいました。のどの奥に苦みも感じて、とても変な味です。飲めたものではないですね」 ペティグリュー氏は「塩を入れるというアイデアは、とてもナンセンスだと思いました。その背景には、科学的な根拠があると思いますが、そのやり方は間違っていると思います」と述べ、塩を入れるのは勧められないと話します。 記者も、ひと口飲んでみましたが、塩味が強く感じられ、「苦みが消える」というよりも、紅茶本来の風味が失われている印象でした。
■英専門家提唱の「正しい紅茶の飲み方」とは?
では、専門家が提唱する「正しい紅茶の飲み方」とは、どんなものなのでしょうか。 ペティグリュー氏「まず、フィルターに通した水道水を用意します。電子ケトルに水を入れ、温度は95℃に設定します。この温度が紅茶にとって最適なんです」 1.計量 ペティグリュー氏「次に、茶葉の分量を正確に量ります。300ミリリットルの水に対して、3.75グラムです。正確に量るのが大切なので、計量器を使ってください」 2.蒸らし ペティグリュー氏「ポットに茶葉とお湯を入れて、今回使う茶葉では、蓋をして3分蒸らします。時間は茶葉によりますが、長く蒸らしすぎると苦みが増して味を損なうので、注意が必要です」 3.注ぎ ペティグリュー氏「蒸らし終わったら注ぎますが、最後の一滴まで注いでください。お湯が残っていると、2煎目が渋くなりすぎるので使えなくなってしまいます。良質な茶葉は、2煎目、3煎目といれることができるので、この作業はとても重要です」 ペティグリュー氏は、温度管理と茶葉の計量が重要だとしていて、その観点から、「電子レンジでお茶をいれる」という方法については「絶対にやらないでください」としています。 また、レモンを入れることに関しては、「少量であれば問題ないものの、レモンを大量に入れる人がいますが、そういう人は紅茶ではなく、ホットレモンを飲むべきだと思います」と述べました。その上で「今回の論争は単なるジョークだ」として、「アメリカとの関係が悪くならないことを祈ります」としました。
■「塩ひとつまみ」アメリカ研究者のレシピ
最後に、論争の発端となったアメリカの研究者が提唱する「紅茶の飲み方」を紹介します。 ・紅茶に塩をひとつまみ加える (塩が紅茶の苦味を出す化学的メカニズムを阻害するため) ・ティーバッグでいれる場合は、よく絞る (渋みを出すタンニンを減らすため) ・レモン汁を少し搾っていれる (紅茶に含まれる「アク」を取り除くことができる)