薄れゆく天然ダイヤの「永遠の輝き」 人工ダイヤが急速にシェア拡大
ラボグロウンダイヤが利益を生むとは限らない
しかし、天然ダイヤからラボグロウンダイヤへの移行が利益につながるかどうかは定かではない。 モルガン・スタンレーは「天然ダイヤの供給量については、2023~25年の年平均成長率が1.8%と低調にとどまる(低水準からさらに低下する)が、ラボグロウン市場のシェア拡大によっていっそう圧力にさらされる可能性がある」とみている。 この傾向を示す好例として、モルガン・スタンレーはラボグロウンジュエリーの販売を急速に伸ばしている宝飾品ブランドのパンドラを例に挙げている。ラボグロウン宝石を使用した同社の製品シリーズの売上は、今年第2四半期に前年同期比88%増加したという。 「とはいえ、これがすべて利益を生む成長であるとは言えない」とモルガン・スタンレーは指摘。「ラボグロウンダイヤは生産者間の競争が激化し、価格圧力が高まっている。このためデビアスのラボグロウン専門ブランドLightbox(ライトボックス)は、ラボグロウンダイヤの生産中止を発表せざるを得なくなった」「ラボグロウンダイヤの市場構造が近い将来どのように変化していくのかを見極めようとしている。そうすれば、天然ダイヤ市場にとってのニューノーマル(新常態)がどのようになるかも、より正確に把握できるだろう」と述べた。 全体として、米国と中国の消費者が慎重な姿勢を崩さないため、研磨済みダイヤ市場には依然として価格圧力がかかっている。 ダイヤモンドのカットと研磨の一大集積地であるインドからの輸出は低迷が続き、7月には前月比11%減、前年同月比では23%減と、過去平均を大きく下回った。 「インドはダイヤ原石の輸入額・量とも5年平均を下回ったままで、中流業者において在庫の取り崩しが続いていることが示唆される」「市場の再均衡化によって価格下落に歯止めがかかると期待しているが、2025年に入るまで価格の反転上昇は見込めない可能性がますます高まっている」とモルガン・スタンレーは述べている。
Tim Treadgold