硫黄島からの手紙、島根で発表会 娘誕生、戦地で喜ぶ父
太平洋戦争の激戦地となった硫黄島(東京都小笠原村)の戦没者を調査している島根大のグループは9日、旧日本軍の兵士が家族に宛てた手紙に関する発表会を島根県大田市で開いた。兵士の長女で、手紙を提供した原幸子さん(79)=大田市=が参加。原さんの誕生を知り「無事出産出来ておめでとう」と喜ぶ文面が紹介された。 島根大の調査を知った原さんが、手元にあった手書きの計13通を2022年に提供。学生2人が時系列に整理し、活字化した。兵士は大田市出身の三谷禎二さんで、硫黄島に出征した1944年5月ごろから45年2月ごろにかけて執筆した。 44年10月の原さん誕生後、大田市の妻に宛てた手紙では「唯一の楽しみに便りをまって居た」と喜ぶ様子が浮かぶ。最後のはがきには「幸子もだんだん可愛らしく生育して行くことゝ思ひます」と記された。米軍が45年2月に上陸し、翌3月に送られた原さんの写真は届かなかった。 厚生労働省によると、島では日本兵約2万1900人が亡くなった。三谷さんも戦死した。