禁止薬物使用疑惑で殿堂入り落選も票を伸ばしたボンズ、クレメンスのなぜ?
米野球殿堂は18日(日本時間19日)、2017年度の殿堂入り選手を発表し、捕手として通算2,844安打を放ったイバン・ロドリゲスが殿堂入りの資格を得た1年目で選出され、15年のキャリア全てをアストロズでプレーし通算449本塁打のジェフ・バグウェル、資格を得て10年目でついに殿堂入りに必要な75%以上の投票を得た元首位打者で盗塁王のティム・レインズの3人が選ばれた。 だが、米大リーグ歴代1位の自己通算762本塁打を放ったバリー・ボンズと同歴代9位の自己通算354勝を挙げたロジャー・クレメンスら、現役時代の禁止薬物使用疑惑が取り沙汰されている2人は、同資格を得て5年目の今年も選出されなかった。 ただ今年の結果は、ボンズやクレメンスの将来的な殿堂入りに明るい兆しを見せた。2人共に初めて50%以上の得票を得たのだ。238票を集めたボンズは昨年の44.3%から53.8%となり、239票だったクレメンスは昨年の45.2%から今年は54.1%に伸びた。 この理由について、米ヤフー・スポーツがさっそく投票結果を分析した記事を掲載。3つの理由を紹介した。まず、一つ目の理由に、バド・セリグ元米大リーグコミッショナーが、12月にベテランズ委員会から野球殿堂に選ばれたことを挙げた。もちろん、セリグは元コミッショナーであり、ボンズやクレメンスのように禁止薬物使用を指摘されたわけではない。しかし彼は、禁止薬物使用時代のコミッショナーだ。 同記事を執筆したマイク・オーズ氏は、「投票資格を持っている多くの記者は、セリグが殿堂入りできるならば、その時代のベストヒッターとベスト・ピッチャーがなぜ選ばれてはいけないのかと考えるのではないか」としている。 同記者は、二つ目の理由にステロイド(禁止薬物)時代に対する考え方が変わってきたことを指摘する。 昨年の殿堂入りは、ケン・グリフィーJr.とマイク・ピアザ。 「保守的な投票記者によれば彼も禁止薬物使用の“容疑者”」と書かれたピアザが83%の高い得票率を得て選ばれたことから、「投票記者達は、ボンズやクレメンスに今年はより好意的になった」とした。 この発表に先駆けて公表された投票によると、昨年ボンズとクレメンスに投票しなかった投票者のうち20人が、今年は2人に投票したという。 3つ目の理由としては、投票の母体が変わったことを挙げられた。 BBWAA(全米野球記者協会)は、殿堂入りの投票記者の中から現在試合を取材してない記者には投票させないように試み、10年以上BBWAAに籍をおいている現役記者は投票できるようにしている。つまり、昔からいる年配の投票者は、禁止薬物使用に対し頑固なほどに反対している一方で、若い投票者は、よりそれを受け入れる傾向にあることが、ボンズとクレメンスへの投票数増加に繋がっているという。