マニュアルはあくまでも「指針」に過ぎない、マクドナルドの強さ生む「ハンバーガー大学」の志とは
多くの方は、マクドナルドの分厚い完璧なマニュアルを見たことがないでしょうから、あまりピンとこないかもしれませんが、はっきり言ってあのような精緻なマニュアルは日本人には作れないと思います。 なぜなら、日本人は「ゼロからイチを生み出す」のが苦手だからです。マニュアルと聞くと、単なる手順書だろうと軽く見ている人も多いかもしれませんが、マクドナルドの店舗運営における混乱をなくし、誰もが完璧なオペレーションができるようなマニュアルを作れと言われたら、それがどれほど大変な作業になるか、想像できるでしょうか。
マクドナルド本社では、マニュアルを作るための専用の研究所(ラボ)があるくらいなのです。そのラボで実際の店舗と同じサイズの店舗を作って、どの動き方、どの動線が最も効率的かを、あらゆる角度から動画を撮影して、それを検証するという方法で日々研究しているのです。 効率性を追求するために、マクドナルドはそこまでやるのです。 ■マニュアルはあくまでも「指針」に過ぎない ちなみに、マクドナルドでは完璧なマニュアルを使って徹底したクルー教育を行っていますが、店舗運営のすべてがマニュアルによって規定されているわけではありません。マニュアルはあくまでも、現場の混乱をなくし、誰でも同じ高品質のサービス・商品を提供できるようにするものであり、いわば「指針」のようなものです。
マクドナルドの店舗では、店長は自分で売上目標を設定し、その目標を達成するための資材の発注、クルーの給与、店舗改装をはじめとする維持コストの捻出などをコストコントロールして経営者として利益を出さなければなりません。 要するに、マクドナルドではマニュアルを重視しているものの、そこで働いている人々はマニュアルに縛られた「マニュアル人間」になっているわけではないということです。マニュアルはあくまでも「指針」に過ぎず、日々の経営に関する「決断」は店長に一任されているからです。