ガリの材料をダイコンに切り替え 輸入ショウガ高騰で回転ずし大手
輸入ショウガが高騰している。財務省の貿易統計によると、2023年の生鮮ショウガの輸入価格は、前年の2倍を記録。回転ずし大手は無料提供するガリの材料を全量、輸入ダイコンに切り替えた。輸入高騰による国産ショウガの代替需要の高まりは現状、限定的となる。 100%ダイコンで作ったくら寿司のガリ 回転ずしチェーンのくら寿司は、昨年12月に全店で新しいガリの提供を始めた。同社は甘味や食感のバランスを踏まえ、15年からショウガとダイコンをブレンドしていた。広報部は「原料が高騰する中でも無料提供を続けられるよう、ダイコンだけでもすしに合う味を研究した」と話す。 ダイコンは中国産を使用。「味がマイルドになり、今までガリを食べなかった人も食べるようになったという声もある」(同)と好評で、当面は現行の提供を続ける。 輸入ショウガの価格は23年、月を追うごとに上昇。1月の時点で1キロ190円と前年同月比44%高だったが、ピークの10月は343円と同2・3倍に高騰。直近では収束してきたが、年間では272円で同98%高となり、輸入量は1万3226トンと同26%減った。
「投機筋が買い占めた」
輸入量の97%は中国産が占める。ガリなど食品製造を手掛ける日本東泉(大阪市)の李忠儒社長は、「感染症対策で免疫力が高まるとして、中国でショウガの需要が高まった。そこに着目した投機筋が買い占め、価格がつり上がった」と話す。 中国産の今期の作柄は良好で、青果用の収穫が始まった昨年10月以降、価格は落ち着いてきた。今後は「種代や肥料、人件費など諸経費の上昇、円安は続くが、高値が3年も続いた分、収束に向かう」(同)とみる。 代替の国産需要は、現時点では限定的だ。他のショウガ加工業者は「国産は、毎年の収量や業者の在庫状況で大きく相場が変わる。高くなったとはいえ、供給の安定を考えると輸入原料は外せず、国産に切り替える取引先はわずかだ」とみる。
日本農業新聞