3月20日から昼と夜の長さがほぼ等しくなる『春分』。「陰」から「陽」へ転ずるこの時期に起こりやすいトラブルとは?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>
◆養生 秋から冬にかけての養生は、陰陽の「陰」を補い、夏の養生は「陽」を補うことを意識するものが多いのですが、暑さや寒さ、昼と夜もちょうど良いこのときは、「陰」も「陽」も適度に補う、バランスを意識した養生がポイントとなります。 「春眠暁(しゅんみんあかつき)を覚えず」とは言いますが、睡眠トラブルでお悩みの方は、朝日をしっかり浴びて陽気の補充から1日を始めましょう。 そして、昼は活動的に過ごすことが大切です。 そうすることで、夜にきちんと眠気が来るようになります。夜になったら煌々(こうこう)と電気を灯さず、日没をすぎたら照明を少し落としたり、間接照明をうまく取り入れると良いでしょう。 メンタル面では、怒りやイライラや動悸が出やすいので、まずは穏やかに、ゆるやかに深呼吸を。 しっかり息を吐いて力を逃しましょう。春の五臓(注)の「肝」は涙によって緊張を解くことができるので、感動できる映画を観たり小説を読んでの「涙活」も効果的です。 (注)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。
◆中医学的 春分の旬のもの ・旬の食材1 三つ葉 3~4月が旬の三つ葉は、気を補って元気にしてくれる「補気(ほき)作用」があります。独特の香りには食欲増進作用もあるので、疲れ気味のときや食欲がないときに、ぜひ取り入れてみてください。 また、三つ葉の辛味は血流改善に良く、炎症を落ち着ける力もあるので、花粉症による目のかゆみにも効果があります。 定番はお吸い物や味噌汁ですが、「三つ葉のなめろう」もおすすめ。三つ葉を細かく刻んで、納豆と納豆のタレ、ネギトロ用のマグロを加えたら、お好みで味噌、砂糖、ごま油を混ぜて出来上がりです! ・旬の食材2 クレソン 栄養素たっぷりのクレソンの旬は、3~5月。春にいたわりたい肝の血流をスムーズにして、潤いを補給しながら余分なものを排出する力に優れており、まさに春のデトックスにピッタリの食材です。 クレソンは、アメリカ疾病予防管理センターでも栄養素スコア100点満点を叩き出したという、西洋医学でも“最強の野菜”と呼ばれるほど栄養価の高い野菜! 洋の東西を問わず、評価の高い食材というわけですね。 ・旬の食材3 アスパラガス 4月頃から出回り始めるアスパラガスは、疲労を回復する力が強く、非常に優秀な“栄養補給剤”となります。 春の食卓には、ぜひとも並べてほしい食材のひとつです。疲労回復のほかにも、胃腸をととのえる・身体の余分な熱を冷ます・潤いを補給する・美肌などの効能があります。 ※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
櫻井大典,土居香桜里