「ちょっと気の重さある」関西A・谷川浩司監督はルール変更に警戒!?前期は予選敗退…2期メンバーと目指すは「決勝進出」/将棋・ABEMA地域対抗戦
負けたままでは終われない。全国を8つのブロックに分け、エリア対抗として行われる団体戦「ABEMA地域対抗戦2025 inspired by 羽生善治」が1月11日から放送を開始する。兵庫・京都・滋賀で構成されるチーム関西Aを率いるのは、谷川浩司十七世名人(62)。予選敗退から1年、棋界の重鎮が地域のために再び立ち上がる。 【映像】2期目の大会への熱い気持ちを語る谷川監督 兵庫県出身の谷川監督を筆頭に、重厚なメンバーで臨んだ前回大会。京都府八幡市出身で永世棋聖有資格者の佐藤康光九段、兵庫県加古川市出身でタイトル7期の久保利明九段、兵庫県西宮市出身でタイトル挑戦経験を持つ稲葉陽八段と出口若武六段、と層の厚さを武器にしたものの、チーム関西Aはまさかの“最速敗退”で姿を消すことに。「監督を務めることができたというのはとても貴重な経験だったと思います。でも、8つのチームの中で最初に抜けてしまったので、それは本当に地域のファンの皆様方に申し訳ない気持ちがありました」と悔しい思いを正直に口にしていた。 地域を背負って戦うこととなる本大会。「棋士はどうしてもやっぱり東京・大阪近辺に“在住”という事にはなるんですけれども、出身は様々ですのでね。私の弟子の都成(竜馬七段)もそうですが、地方出身棋士ほどその地域に対する思い入れであったりファンの方々の応援が熱いというところがありますので、とても面白い企画だったなと思います」。谷川監督は、この企画の可能性を高く評価していたことも強調した。 兵庫・京都・滋賀で編成される関西Aには、谷川監督を含め全20名の棋士が所属。前期の出場登録棋士をはじめ、重鎮から若手まで層の厚さが強みだ。中でも若手再注目で兵庫県加古川市の上野裕寿四段(21)の存在が光る。若手登竜門の新人王戦、加古川青流戦を制したほか、同じルールで行われた「ABEMAトーナメント2024」の優勝チーム・チーム稲葉の一員という実績も輝く。さらに、大会規定のフィッシャールールに適応力の高い冨田誠也五段(28、兵庫県三田市出身)も名前を連ねている。谷川監督の目にはどのように映るのだろうか。「昨年同様実績重視で行くか、ちょっと新しいメンバーにするのか…。今、考えてところです」。 谷川監督には、頭を悩ませる“ルール変更”もある。「前回は1人の棋士が3勝、4勝と勝ち抜いていけるという面白さもあったと思うんですけれども、反面せっかく対局に来ても一局も指さずに終わるというのもありましたので、今年のルールの方が全ての棋士が1局以上指せるという意味で良くなったと思います。ただその反面、監督も対局をしなければいけなくなったというそういう意味でもちょっと気の重さはありますね(笑)」。前回は“監督業”に専念した谷川十七世名人だったが、ファンにとっては待望の瞬間のカウントダウンとも言えるだろう。 前回覇者であるチーム中部は、エースの藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)の連勝を起爆剤として発奮。見事初代王座の座についた。しかし、今回はステージ1では監督を含む全員が対局を行うルールへと変更。王者・チーム中部を含む全8チームが“作戦変更”を余儀なくされることは必至だ。谷川監督も「どうなんでしょう…」とし、「(自分は)早めに出て、その後は監督業に専念をするというふうな形かなと。本音を言うとあんまりあの勝負どころになってから出たくない感じもありますね(笑)」と一筋縄ではいかなくなるであろう“打順”にも苦悩の上場を見せていた。各チームの“エース投入”のタイミングも大きな見どころのひとつとなりそうだ。 かつて日本の中心地だった京都を抱える関西A。将棋のムーブメントも当然、我が地域へ引き寄せたい。前回の“最速敗退”の雪辱を胸に、「次はできれば出場を後にしてほしいな、という気持ちはあるんですけれども……(笑)」というジョークも。しかし、「そんな他力を当てにしてはいけませんので。練習を重ねて決勝の方に進めるように頑張りたいと思います」と語る谷川監督の視線は鋭い。最強地域の座を狙う戦いは、もう目前に迫っている。 ◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合は監督と出場登録棋士4人の計5人が参加。全員が1局ずつ指す「ステージ1」と、ステージ1で勝った棋士が負けるまで指し続ける「ステージ2」に分かれ、5人を先に倒した方が勝利チームとなる。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。 (ABEMA/将棋チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部