フェラーリの実力は本物なのか、次の鈴鹿で明らかになる。【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】
連載【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】RACE5 中東のバーレーンとサウジアラビアで開催された開幕の2戦はレッドブルとマックス・フェルスタッペンが圧倒的な強さを発揮し、2連勝を飾った。しかし第3戦のオーストラリアGPではフェラーリがワンツーフィニッシュを決め、タイトル戦線に名乗りをあげてきた。次戦は春開催に移行した第4戦日本GP。鈴鹿での一戦を制し、チャンピオン争いの主導権を握るのはレッドブルかフェラーリか? それとも新たな勢力が登場するのか? 今年の日本GPは見逃せない戦いになりそうだ。 【写真】春開催の鈴鹿への期待を語る堂本光一 * * * ■残念だったフェルスタッペンのリタイア 第3戦のオーストラリアGPはフリー走行から各チームのタイムが接近していました。その中でもフェラーリが予選までは調子が良く、もしかしたら開幕から連続ポールポジションを獲得するレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手を上回るタイムを出すのでないかと期待していました。 でも終わってみれば、フェルスタッペン選手がうまくラップをまとめて3戦連続となるポールポジションを獲得。フェラーリのカルロス・サインツ選手はわずかに及ばず2位、シャルル・ルクレール選手は5位にそれぞれつけました。 決勝ではフェラーリ勢がフェルスタッペン選手とどんな戦いをするのか。今シーズンのフェラーリのマシンの実力が見られると楽しみにしていたのですが、フェルスタッペン選手はスタート直後からブレーキトラブルに見舞われ、早々にリタイアを喫します。 2番手スタートのサインツ選手はトップに立つと、終始、安定したペースで58周のレースを走りきり今季初優勝をあげました。2番手にはルクレール選手が入り、フェラーリはワンツーフィニッシュを達成。フェラーリの2年振りのワンツーはうれしかったですが、フェルスタッペン選手との力関係がどうなのかが見られなかったのは残念でしたね。
■フェラーリの弱点は克服されたのか? でも今年のフェラーリのマシンは確実に良くなっているように感じます。第2戦のサウジアラビアGPではサインツ選手が虫垂炎の手術のために欠場し、代わってF2に参戦するオリバー・ベアマン選手が急遽フェラーリのステアリングを握りました。18歳のベアマリン選手は昨シーズン、フェラーリのパワーユニットを搭載するハースから2度、フリー走行に出場し、今季はフェラーリのリザーブドライバーを務めています。 ベアマン選手はサウジアラビアGPの土曜日に行なわれた1時間の練習走行をしただけで予選に出場し、11番手を獲得。翌日の決勝でも安定感のある走りを披露し、デビュー戦で7位入賞を果たしました。ベアマン選手は若くて才能のあるドライバーですが、新人がいきなりあれだけのパフォーマンスを発揮できたということは、今年のフェラーリは扱いやすくて、いいマシンだという証明にもなると思っていました。 あとフェラーリで気になることは、昨シーズン苦しんでいたタイヤのデグラデーション(性能劣化)がどうか、だと思います。タイヤに熱が入りやすいと予選の一発は速いですが、決勝ではタイヤに負担がかかりすぎて摩耗が進んでしまいます。逆の場合はタイヤに優しいので長く持たせることができますが、予選ではなかなかタイヤに熱が入らず、いいタイムを出せなくなります。そのバランスがレッドブルは完全に取れているのだと思います。 今シーズン、フェラーリのドライバーたちはタイヤの摩耗に関して、非常に前向きなコメントをしていますし、チームとしてもデグラデーションの改善を目指して2024年型のマシンを開発してきたと話しています。 オーストラリアGPでは弱点だったデグラデーションを克服しているように見えましたが、アルバート・パーク・サーキットはタイヤにそれほど厳しくないサーキットです。次の日本GPの舞台となる鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)はタイヤに厳しく、パワーユニットや空力面でも高い性能を要求されるサーキットです。フェラーリの実力は本物なのか、鈴鹿で明らかになると思います。