【コラム】ユニークな日本製品、しらふで海外展開探ろう-リーディー
(ブルームバーグ): おいしいお酒はつい飲み過ぎてしまうのか。
日本の4大酒造メーカーのうちの2社、アサヒグループホールディングスとサッポロホールディングスがふたを開ければすぐに飲めるお酒(RTD)の分野で、アルコール度数の高い稼げる成長市場から撤退するという異例の措置を取った。
日本では人口高齢化と禁酒志向の高まりに伴い、酒類の販売がここ数年減少の一途をたどっている。だが、RTD分野は、フルーツフレーバーやスパークリングウオーター、焼酎ベースまたはウオッカベースの酎ハイ缶カクテルに代表されるように、15年以上ほぼノンストップで成長を続けてきた。
その成長の多くは、アルコール度数が7-9%の高アルコール飲料登場後だ。2010年以降、売り上げは5倍以上に増加し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期には家で飲む機会が増え、さらに伸びた。
アサヒもサッポロも健康上の懸念を理由にアルコール度数8%以上の新商品は発売しない方針だという。両社はそもそも、この分野トップのサントリーホールディングスに後れを取っており、それが撤退の理由だとする皮肉な見方もある。
ただ、厚生労働省が初めて「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表したことを受け、アルコール度数の高い「酎ハイ」は終わりに近いのではないかとの指摘もある。
キリンホールディングスはそうしたスタンスを検討していると報じられており、非公開企業であるサントリーがどのような動きを見せるか注目されている。
重要な顧客
アルコール度数9%のサントリー「ストロングゼロ」に代表される強力な酎ハイは、一方で素晴らしい商品だ。500ミリリットル缶で約220円と安く無糖で、酒類販売に寛容な日本のどこでも手に入り、飲みやすさとアルコール度数の両方を完璧に兼ね備えている。
米国のRTDセクターはここ10年で急成長したが、日本企業はその3倍の時間をかけて商品を完成させてきた。ストロングゼロはすぐにほろ酔い気分になれるだけでなく、気になるアルコール臭さもない。