日本刀に魅了され広島初の外国人刀鍛冶に「こんなに美しいものを作る国がある」スイス人と日本人の共通点も語る
スイス人監督が日本を舞台に作ったショートフィルムの上映イベントが26日、都内にて行われ、ドキュメンタリー映画『ジョハン、炎のダイアローグ』に出演する、スイス出身の刀鍛冶職人ジョハン・ロイトヴィラーさんと、ロマン・ゲラ監督が登壇。日本で刀鍛冶を目指した理由や、スイス人と日本人の共通点などを語った。 米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「SSFF & ASIA」の受賞作や注目作を特集上映する「SSFF & ASIA 2024 秋の国際短編映画祭」。この日は、スイス・日本 国交樹立160周年記念「スイス特集:日本を見つめるスイス」として、スイス人監督による日本舞台のショートフィルム3作品を上映。 その中の1本画『ジョハン、炎のダイアローグ』は、広島の刀鍛冶に弟子入りし5年の修行を経て今年、文化庁の作刀許可を取得。広島で初の外国人刀鍛冶となったジョハン・ロイトヴィラーさんを追った短編ドキュメンタリー。 スイスで数々のドキュメンタリー作品を手がけてきたゲラ監督。「広島の田舎で日本刀を作っている」同じスイス人の青年がいると聞きジョハンさんを撮りたいと熱望したとのこと。 司会が「スイスの方って日本人に何かコネクションを感じるんでしょうか?」と尋ねると、ジョハンさんは「個人的意見ですけど、几帳面という部分はスイス人も日本人も一緒だと感じます。特に職人の世界では、自分の技術を極めようとする姿勢は同じだと感じます」。 ゲラ監督にも同じものを感じたというジョハンさん。監督は日本に慣れた少数のクルーで撮影に臨み、ときには単身で訪れて自らカメラを回していたとのことで、ジョハンさんも「撮影ってやっぱり気が散ったりするんだけど、今回は楽しい撮影でした」。 そんなジョハンさんは日本で刀鍛冶を目指した理由を聞かれ「子どものころから鍛冶仕事がしたかったんですけど、スイスではなかなかできなくて。妥協して鉄工所に入り、その仕事も好きだったんですけど、17歳のとき初めて刀を見て、鍛冶仕事でこんな立派なものを作る国があるんだ、と。絶対に作りたいと思ったけど、実際に今も作っているのかとか外国人が職人になれるのかとか何も分からなかった。結局、刀鍛冶になりましたけど(笑)」。 今のところ「成功したのは3本。短刀、脇差、刀。今、研ぎに出してます」と明かしつつ「失敗も多い。失敗する前提で仕事してます(笑)。だけど失敗するんじゃろうなと思うと100%失敗するから、失敗もあることを含めて成功を祈ってしなければならないという難しい仕事」と苦笑した。 「日本語を完璧に話せるようになりたい」と来日する数年前から日本語を勉強。この日はゲラ監督の通訳も務め、ときおり「長いですね」と端折って「僕が言っていたのと同じようなことを言ってます(笑)」と茶目っ気を見せ会場の笑いをさそっていた。